このきらめきをいつまでも-。「2010徳島市の阿波踊り」(市観光協会、徳島新聞社主催)は15日、最終日を迎えた。「乱舞もきょう限り」と、ぞめきのリズムがさらに力強く踊りの街をあおる。65年前のこの日、戦争が終わり、わずか1年後、焦土の中から阿波踊りは復活した。その力を、誰もが全身で感じた4日間。県都に熱狂の余韻を残し、うたげは幕を閉じた。
35度近くまで気温が上がった徳島市。汗を飛び散らせ、踊り子たちの熟練の舞は切れを増す。元気いっぱいの企業連、若さあふれる大学連、障害や病気を抱える人たち、踊りに魅せられた外国人もいた。踊る喜びに境遇も、世代も、国境も、関係はない。永遠のメッセージが見る阿呆(あほう)の心を震わせ、興奮の渦はとめどなく広がった。
午後7時すぎ、両国橋演舞場では、観光客がにわか連に飛び込んだ。乱舞は、演舞場を出ても止まらない。大人も、子どもも、有名連の踊り子も、混然一体となった踊り絵巻。笑顔の花があちこちで咲いた。
阿波おどり実行委員会によると、最終日の人出は26万人、210連が繰り出した。4日間では135万人、960連だった。幾つもの世紀を越えて受け継がれてきた祭典は、次代へと一歩、歩みを進めた。
【写真説明】フィナーレを惜しんで踊る有名連の踊り子たち。見物客を巻き込み、乱舞の渦ができた=両国橋北詰め