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淡水性カメ類(在来種)の保護活動

大阪府自然保護・保全・復元

団体名和亀保護の会
所在地〒599-8232
大阪府堺市中区新家町548-21 西堀方
TEL:072-237-9057
URL:http://www.wagamehogonokai.sakura.ne.jp/

団体の設立経緯・目的

 護岸やゴミ投棄、外来生物の増加など、問題の多い都市河川の中にも、まだニホンイシガメが生息していることを知り、在来種のカメ類を保護し、その生息環境を改善していくことを目的に、2004年に会を発足し活動を始めた。

主な活動対象地域大阪府茨木市・摂津市を流れる大正川周辺地域及び兵庫県加古川市寺田池周辺地域
活動形態実践
活動分野自然保護・保全・復元
本プロジェクト助成継続年数1年目
 

大正川のカメ類の生息状況を周辺住民に説明(通常の活動の中で)

活動の概要


 大正川周辺には在来種のクサガメが多く見られるが、これまでの当会の調査によって若齢個体数が極端に少ないことがわかっており、ニホンイシガメやスッポンの生息数も僅かである。それに対して外来種のミシシッピアカミミガメは排除の努力にも関わらず、未だ目立つ存在である。
 寺田池には主にミシシッピアカミミガメによって数を減らしたと思われるクサガメが僅かに残っているが、越冬場所として好む水路が護岸されることとなり、工事後の生存が危ぶまれている。
 そこで、在来種のカメ類の生息状況の調査、外来種のカメ類(主にミシシッピアカミミガメ)の駆除、清掃活動、啓発活動などを継続的に行なうこと、護岸改修工事などの際に行政に協力することによって、在来種のカメ類が地域においてその個体群を維持できるような環境を取り戻すことを目指す。また、アカミミガメの駆除については他地域でも例が少ないため、モデルケースとして活動の実際と効果を広く伝えていく。


 大正川とその周辺河川において、年間を通じてカメ類の生息状況の調査を行う。また、その調査結果をもとに、継続的に行なっている清掃活動や外来種の駆除などの効果について検討し、必要な場合には、計画の変更や新たな方策の模索を行ないながら在来種のカメ類の保護につとめる。また、地域の学校や自治会などと協力して啓発活動を行ない、河川環境とそこに生息する生物への関心を高める。
 寺田池及びその水路については、改修工事(2006〜2008年)にともない水が抜かれるため、在来種のカメ類の保護(水路でつながった近辺の池への放流)と外来種のカメ類の駆除を行なう。また、地元住民・研究者・行政と協力して、生物に配慮した護岸を計画し、工事終了後には健全なため池環境の復元と維持につとめる。
 大正川・寺田池以外の場所についても、調査や外来種の排除など必要と考えられる活動を行なう。

 


 大正川周辺では年間41回のカメ類の生息状況調査を行ない、同時にミシシッピアカミミガメの駆除活動(41回)と清掃活動(35回)を行なった。これにより、大正川に棲息するニホンイシガメとクサガメの個体数推定や他地域のカメ類との身体状況の比較などが可能となった。外来種であるミシシッピアカミミガメの駆除数は合計105頭であった。この数は例年の捕獲数とほぼ同じである。会員の手探捕獲の技術向上やトラップ数の増加を考えると、活動開始時に比べて、大正川を利用しているミシシッピアカミミガメの数はある程度減っているのではないかと推測される。清掃活動では地元の清掃ボランティア団体と情報交換をしながら、毎回90Lのゴミ袋に3〜10袋分のゴミを回収した。大型ゴミや生物の命に関わる危険なゴミも引き上げた。行政に対しては生物に配慮した作業のアドバイスも行なった。
 寺田池周辺では年間11回、主に在来種のカメ類の生息状況調査とミシシッピアカミミガメの駆除を行なったが、駆除数は266頭(活動開始より合計843頭)となった。
 また、以上の活動状況とその結果は地元での啓発活動の場やシンポジウム・学会などの場で紹介し、在来種のカメ類の現状と外来種問題についての理解を広めた。

(助成金額:1,000千円)


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