窮地に立つコンビニ「常温弁当」、逆襲の一手は?nikkei TRENDYnet8月16日(月) 11時10分配信 / 経済 - 産業
【詳細画像または表】 特に急増しているのが、常温の弁当と異なる温度帯の弁当に力を入れる動きだ。低温で管理し、電子レンジで温めて食べるチルド弁当はその存在感が増している。また、ローソンは「業務スーパー」を手がける神戸物産と組んで、新サービス「ローソン神戸ほっとデリ」を本格展開に乗り出した。 こうして活発化するチルド弁当や店内調理などの取り組みに比べると、常温弁当の動きは静かだ。景気低迷の影響もあり、発売する数も前年の8割程度に絞っているチェーンが多い。下と次ページのコンビニ弁当の歴史のように、1日1店当たり20〜30個が売れる弁当が珍しくなかった全盛期の90年代に比べるとヒット商品も少なくなっている。「長期的に見ると、常温弁当の市場は縮小していくだろう」とファミリーマートのデリカ食品部米飯グループの辻井英毅マネジャーは予想する。 コンビニ「常温弁当」の歴史(1) コンビニ弁当黎明期 1970〜80年代 ●黎明期の弁当などの売上構成比は、セブン-イレブンで10%以下と低かった。セブン-イレブンは78年に米飯の1日2便制を千葉で開始。80年代には1日3便制にするなど体制が整うにつれ、構成比が高まっていった●86年、セブン-イレブンは弁当で使う米を「ササニシキ」と「コシヒカリ」のブレンドにして品質を向上●86年、セブン-イレブンが仕出し弁当を全国で展開●87年、ローソンがミニ丼「プチどんぶり」発売 「商品の進化」武器にヒットが続々 90〜94年 ●コンビニエンスストアの増加に伴って、弁当類の需要が拡大。700〜800円程度の高級弁当も販売される一方、小容量の低価格弁当も登場。コンビニ弁当の多様化が始まる●90年、セブン-イレブンが弁当専用の保温トラックを開発●92年、セブン-イレブンが380円の「コロッケランチ」と「ミニむすびセット」を投入●92年、エーエム・ピーエム・ジャパンが米飯などを急速冷凍して保存、品質を劣化させずに解凍する技術を開発 95〜99年 ●1日1店当たり20個以上販売するようなヒット弁当が続々と登場した時代。高カロリー、超ボリュームの弁当が話題になる半面、店内調理や冷凍弁当など、今日につながる取り組みも。有名料理人とタイアップした“企画モノ”もヒットした●95年、サンクスアンドアソシエイツが神田川俊郎と組み、「神田川俊郎作弁当」(880円)を発売し、ヒット●96年、エーエム・ピーエム・ジャパンがデリバリーサービス「デリス便」を開始●97年、ローソンが1日に必要な栄養素の3分の1が1食で取れるという「栄養バランス弁当」を発売 コンビニ「常温弁当」の歴史(2) メガヒットが登場 2000〜05年 ●コンビニ弁当とファストフードなどの競合が話題に。ITバブル崩壊で低価格の弁当も登場した●01年、サンクスアンドアソシエイツがプロレスラー、橋本真也と組み、「破壊王のスタミナ弁当」(580円)などを発売し、ヒット。企画系弁当が増加●04年、ファミリーマートが「包み仕立て弁当」を発売し、ヒット●04年、ローソンが一点豪華主義のワンコイン弁当「ごはん亭」シリーズを発売 景気低迷で苦戦へ 06年〜 ●低価格の外食チェーンや持ち帰り弁当店との競合が激化●駅弁や空弁、地域産品を使った地産地消弁当などが増加●07年、「メガ盛り」ブーム。コンビニ弁当にも巨大化の波広がる●店内調理で他チェーンとの差別化を図る動きが加速●チルド弁当を導入するチェーンが増える。今年2月、セブン-イレブンがチルド弁当を全店展開 ローソンは“驚き”で低価格弁当に対抗 それでも、各チェーンは常温弁当のヒット商品創造のため、次の一手を模索している。 ブランド卵「ヨード卵・光」を使った「トロトロ仕立ての親子丼」や通常の2倍近い厚みがあるチャーシューを使った「直火焼炙りチャーシュー弁当」――。ローソンは価格に対して商品価値が3割程度上回っているとうたう「驚きの商品開発プロジェクト」という弁当シリーズを継続投入している。「リーマンショック以降、スーパーの低価格弁当などの攻勢にさらされた。そこで、価格以上の価値がある商品を開発することにした」(ローソン米飯・デリカ部の伊藤一人部長)。 価格を抑える秘密は、「規格外のサイズの卵を使ったり、原材料が底値になるタイミングで調達する」(ローソンの萩森和裕原材料仕入部長)こと。常に何種類か驚きシリーズ用のレシピを用意しておき、為替動向などを睨みつつ、タイミングを見て一気に材料を発注。商品を投入するやり方だ。トロトロ仕立ての親子丼のように定番化するものも出てきた。 “驚き”を演出 大きな海老天や通常4mmの厚さを7mmにしたチャーシューなどが入った「驚き〜」シリーズ。どの弁当も発売すればコンスタントに1日1店当たり10個以上を売る セブン-イレブンは“ボリューム×低カロリー”が好調 セブン-イレブンは今春、ボリュームと低カロリーの両立を狙う新シリーズを投入した。「油で揚げない!! 」シリーズは、従来1000kcal程度あったメニューを油を使わないことや低カロリー米飯を使用することで600kcal程度に抑えたもの。「たっぷり食べたいけれどメタボ対策でカロリーは抑えたい、というニーズは根強い」(セブン-イレブン・ジャパンFF・デイリー部の石橋誠一郎総括マネジャー)。第1弾商品は、発売と同時に1日1店当たり13個程度を販売するなど好調な出足を見せている。 セブン-イレブンは「日替わり」でも攻める。7月から首都圏の店舗に500円の日替わり弁当を投入。「セブン・ミールサービスの仕組みを利用し、日曜から土曜まで毎日日替わりで、幕の内タイプの和・洋・中の弁当を提供する」(石橋マネジャー)。8月からは全店に拡大しており、コンビニ弁当の利用頻度が高いユーザーに支持されそうだ。 毎日違う弁当を提供 セブン-イレブンは首都圏の全店で毎日変わる「日替わり弁当」を500円で販売 スリーエフは「往年のヒット作」を復刻 懐かしのヒット商品を復活させる動きも。スリーエフは創業30周年記念として過去の人気商品を当時の手描きレシピなどに基づいて再現し、継続投入している。「今はメーカーが手作りすることはないが、量だけでなく容器、食材も忠実に再現している」(スリーエフのFF商品部弁当担当の親松弘喜マーチャンダイザー)。ただ、昨今の健康志向に対応し、塩味の強さなどは弱まっているそうだ。 温故知新作戦 「往年のヒット作」を復刻する動きも目立つ。創業30周年のスリーエフは当時の手描きのレシピを使い、継続的に商品を開発している (文/西部 浩之=日経トレンディ 写真/高山 透) 【関連記事】 田園調布のパン屋「ベッカライ シュタインメッツ」で扱うのは1種類のみ! アジアを丸ごとインスタントにする大胆さ! レトルト寿司は邪道です!! 2010年「アウトレットモール番付」発表! 「御殿場」不動、「神戸三田」大躍進 ノンアルコールビール、ヒットを支えているのはやっぱり“ビール党” 手軽な「ツイ割」集客はしない!ツイッターでファン獲得 豚組しゃぶ庵(しゃぶしゃぶ店、東京・六本木)
|
PR
話題の作品がぜんぶ無料で見放題 |