全身にすすを塗り、真っ黒な鬼に扮(ふん)した子どもが大綱を引いて練り歩く奇祭「盆綱曳(ひ)き」が14日、福岡県筑後市の久富地区であった。かわいい小鬼たちは「わっしょい、わっしょい」の掛け声勇ましく、重さ約400キロ、長さ約15メートルの綱を懸命に引いた。
保存会によると、寛永20(1643)年に始まった施餓鬼(せがき)行事で、地獄に落ちた亡者を盆の1日だけ綱で引き上げ、極楽浄土で食べ物を与える慈悲の供養とされる。同県指定無形民俗文化財。
荒縄の角をつけた子どもたち55人は、地獄の釜の番人になりきって約3キロを踏破。蒸し暑さに体力を消耗した揚げ句、大勢の写真愛好家からポーズを求められて「これじゃ地獄だ」とぐったり。
=2010/08/15付 西日本新聞朝刊=
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