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【プロ野球】

クルーン 笑撃締め 一塁へ前代未聞のコロコロ送球

2010年8月15日 紙面から

巨人−横浜 9回2死満塁で石川(左)を投ゴロに仕留め、一塁にゴロ送球する巨人・クルーン=東京ドームで

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◆巨人5−2横浜

 アーチ攻勢の口火は坂本の21号だ。今季3本目の先頭打者本塁打は自身初のビデオ判定弾。「入ると思わなかったけど打球がよく伸びてくれた」という一撃はバックスクリーン右の手すりで跳ねてスタンドイン。右足ふくらはぎを負傷した阿部を欠く中で打線を勢いづけた。試合前に密室でマンツーマン指導した原監督も「今日は(凡打の)内容も良かった」と満足そうだった。

 なんじゃこりゃ〜。東京ドームを埋めたG党もア然ボウ然。最後はコロコロ送球と打者走者の足の勝負になった。一塁エドガーのミットに一瞬早く球が吸い込まれ、“笑撃”のゲームセット。巨人がヒヤヒヤの連勝で首位をキープした。

 7月4日以来となる1試合4発の“ストレス快勝”ムードが急転した。9回だ。3点差に追い上げられ、さらに2死満塁の危機。ここからがクルーン劇場の真骨頂だ。石川を投ゴロに打ち取る。体で止める。投げる。しかし、これが何とアンダーハンドからのゴロ送球だった。

 目を丸くしたのはエドガーだ。「かなり長く、球が転がっていたね。考える時間はあるし、走ってくる走者も見える。緊張したよ」。感想を聞かれると、思わず噴き出した。「一塁を守っていてゴロの送球が来たのは初めてだね」

 しかし、これも主役のクルーンに言わせれば最善の策。「(捕球時に)地面に指をついてしまって感覚が鈍くなった。石川は足が速いし、立ち上がって送球する時間もない。それに、上から投げると暴投になるかも。だから(球を)転がす決断をしたんだ」。スラスラと説明しながらも、照れ笑いは消えなかった。

 指揮官にとっては素直に喜べない試合が続く。先発福田の制球が定まらず、初回8球でマウンドへ。5点リードの9回にも星野の乱調に自らのヒザをたたいて怒り爆発。2人とも降板後は横に呼び寄せて公開説教だ。

 「今日はクルーンを使いたくなかったというのが本音。彼らは巨人を背負って立つべき選手だから(鉄は)熱いうちに、ということ」。どうにもスッキリしない戦いが続く前年王者。いろいろな意味で目が離せない。 (井上学)

 

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