甲子園を去る大藤監督(右から2人目)と中京ナイン(撮影・石湯恒介)
「高校野球・2回戦、早実21‐6中京大中京」(14日)
中京大中京(愛知)は、昨夏の優勝時のマウンドに立った右腕、森本準平投手(3年)が2度登板したが計14失点の乱調。甲子園での同校史上最多被安打、最多失点となり、今大会限りで退任が決まっている大藤敏行監督(48)に、夏連覇を捧げることができなかった。
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夏の聖地は、17歳に人生の表裏を突きつけた。連射砲のように早実打線の安打を浴び続けて終わった最後の夏。「いいことばかりじゃないなと感じています」。森本は静かに現実を直視した。
背番号11の昨夏は、エース堂林翔(現広島)の後を受けて優勝マウンドに立った。しかし、今年の春季大会後に腰痛、背筋痛を発症。先発は2年生左腕の浅野に譲って遊撃についたが、浅野が初回につかまった。一回途中でマウンドへ。だが、今夏は「ほとんど投げ込み、走り込みができていなかったから投げる体力がなかった」という言葉どおり、五回に5連打を含む11安打12失点。竹内にマウンドを託した。
5‐19となった九回、大藤監督から「どうする?」と尋ねられ、「いきます」と即答した。それでも体はいうことを聞かず2安打2失点。「信頼してくれた先生に申し訳ない」と悔やんだが、「すべて自分の野球人生として受け止めたい」と、決してうつむくことはなかった。
聖地の土は持って帰らない。「土よりいろんなものを得た。それは頭や胸に入っています」。その宝物を携え、大学で次のステージに挑む。
(2010年8月14日)