「中日4‐3広島」(14日、ナゴド)
広島が延長十二回に力尽きた。大島崇行投手(26)が、荒木に右線適時打を浴び、ジ・エンド。八回に同点とされてからの継投は最善の策を打った。だが、実らず今季5度目のサヨナラ負け。3連敗で今季ワーストタイの借金22となり、自力でのクライマックスシリーズ進出も消滅した。野村謙二郎監督(43)は「何とか一つ一つ勝つ。それしか頭にない」と言う。残り42試合、勝利と戦力の底上げへと全力を注ぐ。
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十一回までどうにか、耐え、しのいできた中継ぎ陣が、最後の最後で、力尽きた。十二回無死一、二塁。大島の初球直球を荒木がバスターで強振した。バントに備え、前進してきた一塁・岩本の動きをあざ笑うかのように、打球はグラブをかすめ、右翼線に転がった。広瀬の矢のような送球も、本塁間に合わず、万事休した。
今季5度目のサヨナラ負けで、102試合目にして自力でのクライマックスシリーズ進出の可能性が消滅。敗戦直後のベンチ。あるコーチの怒声が響き渡り、重たい空気が支配した。
野村監督は「クライマックスうんぬんよりも、今日みたいな試合が多いよね。六回以降に逆転される試合が多い。何とか一つ一つ勝つこと。それしか頭にない。それしか言いようがないよ」。開幕前に優勝を目指すと公言してきた指揮官も、悔しさをのみ込みながらぶ然と振り返った。
最善の策は打ったが、中継ぎ陣の層の薄さが最後に出た。先発・ジオを受けた2番手横山で1点差を守り切る構想も失敗した。八回1死一、三塁。和田に左犠飛を浴び同点とされた。
この日無失点に抑えれば、球団新の24試合連続無失点記録がかかっていた。だが、記録更新ならず。痛恨の失点に横山は「ああいうところでしっかり抑えないといけない」と、申し訳なさげに振り返った。
同点とされたが、中継ぎ陣は奮闘した。中日のように浅尾、岩瀬の逃げ切り方程式が確立されていない中、十回は岸本、十一回は大島が無失点に抑えたが、最後に悪夢が待っていた。大野ヘッド兼投手コーチは「救援陣の層をどう上げていくかを考えないといけない。抑え、セットアッパーを確立させないと」と、ただうめいた。
12日の阪神戦から3連敗。自力クライマックス進出は消滅したが、まだ42試合ある。今の苦しみを乗り越えた時、鯉戦士は成長する。今後へとつなげるためにも、残り試合、全力で戦う。