民主大敗:予算編成は難航 無駄削減課題

2010年7月12日 22時27分 更新:7月12日 22時44分

会見で記者の質問を聞く菅直人首相=東京都千代田区で2010年7月12日午前0時42分、藤井太郎撮影
会見で記者の質問を聞く菅直人首相=東京都千代田区で2010年7月12日午前0時42分、藤井太郎撮影

 参院選では、超党派の消費税論議を呼びかけた菅直人首相や民主党幹部に対し「無駄削減の努力が足りない」との厳しい批判が浴びせられた。今後本格化する11年度予算編成では、より一層の歳出削減の徹底が求められそうだが、10年度予算でも無駄削減が思うように進まなかった経緯があり、難航は必至だ。

 消費税増税分を成長政策に回すことにも言及した菅首相に対して、みんなの党は「増税の前にやるべきことがあるだろう」(渡辺喜美代表)と批判。マニフェスト(政策公約)で同じく消費税増税を掲げた自民党も「民主党の『バラマキ政策』に使うことは許されない」などと追及した。

 参院選惨敗で追いつめられた菅首相は「税金の無駄遣いについて、事業仕分けを更に進めて、国民の理解を求める」と、より一層無駄削減に力を入れる姿勢を強調する。10月には特別会計の事業仕分けを予定し、どれだけ無駄を洗い出し、成長戦略などに充てる財源を確保できるかが来年度予算の焦点となりそうだ。

 しかし、民主党は昨年から無駄削減に躍起となっているが、思うような成果を上げられず「これ以上大きな財源は出てこない」(財務省幹部)との声も強い。参院選惨敗でリーダーシップを弱めた官邸が歳出抑制の大なたを振るえるか、不透明な状況だ。【坂井隆之】

 ◇景気下支えは「日銀頼み」か

 市場では「日銀の金融政策に対する圧力が一層高まる」(アナリスト)との見方が強まっている。欧米経済の先行きが不透明なことに加え、年度後半にかけてエコカー補助金などの政策効果も薄れるため、景気回復のテンポは減速する可能性が高い。「ねじれ国会」による政策停滞が加われば、景気の下支えは「日銀頼み」の様相を強めそうだ。

 市場では民主党が国会のねじれを解消するため、みんなの党などとの連立か部分連合を模索せざるを得ないとの見方が強い。みんなの党は選挙公約で、日銀と政府との協定による物価安定目標の設定などを掲げた。渡辺喜美代表は「デフレ脱却に向けて日銀法改正案を出したい」と意欲を示す。

 民主党がみんなの党と組めば、早期のデフレ脱却に向けて日銀に追加緩和圧力がかかるのは必至だ。「肝心の税財政改革や成長戦略は後回しになり、日銀法改正と公務員制度改革に焦点が移る」(アナリスト)との見方もある。【清水憲司】

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