参院選:枝野幹事長続投へ、小沢系議員は責任追及の構え

2010年7月12日 21時45分 更新:7月13日 0時59分

民主党本部の幹事長室を出る枝野幸男幹事長=東京都千代田区で2010年7月12日午後1時2分、津村豊和撮影
民主党本部の幹事長室を出る枝野幸男幹事長=東京都千代田区で2010年7月12日午後1時2分、津村豊和撮影

 参院選大敗をうけ、民主党は12日、党本部で役員会を開き、菅直人首相(党代表)と枝野幸男幹事長ら現執行部体制を当面維持する方針を確認した。枝野氏は記者会見で「首相から職務を全うしてほしいという強い指示があった」と続投する意向を表明。だが、役員会で小沢一郎前幹事長に近い高嶋良充参院幹事長が「両院議員総会を開いてしっかり総括すべきだ」と責任を追及する構えを見せた。執行部体制継続・内閣改造見送りで混乱回避に走る菅氏と、これをけん制する小沢氏側。9月代表選をにらむ神経戦の火ぶたが切られた。

 12日午後3時過ぎ、参院選翌日で人影が少ない東京・永田町の参院議員会館。仙谷由人官房長官は当選祝いのネクタイの紙袋を提げながら、会館2階の一室を訪ねた。部屋の主は民主党の輿石東参院議員会長(参院山梨選挙区)。激戦を制して3選を果たした輿石氏への祝いの言葉もそこそこに、仙谷長官は切り出した。

 「菅直人首相と話して、選挙で返り咲けなかった方や勇退された方にも引き続き仕事をしていただくことに決めました。ご了解いただきたい」。千葉景子法相ら落選組の処遇を含め、内閣の人事は凍結する--という趣旨だったが、人事凍結は党内対立の誘発を避けたい狙いがあった。輿石氏は「今の段階では了とする」と聞き置いた。

 首相官邸は、参院選期間中から首相批判を繰り返してきた小沢氏の動向を読み切れないでいる。民主党代表選を9月に控え、首相周辺は「小沢さんがどう動くか、小沢氏に近い輿石さんが(選挙戦から)戻ってきてどういう話をするか、瀬踏みしないうちには動けない。とにかく様子見だ」。仙谷氏の隠密行動もその伏線だった。

 菅執行部にとっては、「ねじれ解消」に向け、今秋の臨時国会をにらんだ野党との連携工作をどう仕掛けるかという難題も抱える。党役員人事・内閣改造見送りは、今秋まで足元の波乱要因を封印したい狙いもある。

    ◇

 一方の小沢グループ。12日夕の民主党役員会で動きを見せた。冒頭、選挙総括をまとめることを提起した枝野氏に対し、高嶋氏が両院議員総会での総括を逆提案。小沢グループの奥村展三総務委員長も「幹事長と選対委員長の2人ではなく落選議員の意見も取り入れるべきだ」と続けた。

 選挙総括は党執行部の責任論に直結する。枝野氏の提案は総括を主導することで先手を打つ狙いだったが、落選議員を入れれば、菅首相の増税発言を含め執行部批判が強まるのは必至。小沢氏に近い原口一博総務相は12日、記者団に対し「総括を落選議員や候補者が議論し合うことがまず第一だ」と同様の注文をつけた。ただ、小沢氏側も執行部が両院議員総会開催に踏み切れないのは織り込み済みで、けん制の狙いがあるとみられる。

 挙党体制の構築と国会での連携相手模索の「二正面作戦」を強いられる菅執行部だが、ともに展望はない。政府高官は「まずは連携交渉をきちんとやらないといけない」と、党内政局への対応は後回しだと強調した。

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