2010年7月12日 21時22分 更新:7月12日 23時26分
日本郵政グループのゆうちょ銀行は12日、大規模なシステム障害が発生し、全国の現金自動受払機(ATM)などで、提携先の銀行など金融機関との間での送金や引き出しなどの取引ができなくなったと発表した。ゆうちょ銀は、システムのハードディスクの一部が破損したのが原因と見て、復旧を急いでおり、他の金融機関と相互にATMで現金を引き出すなどの一部機能は同日午後8時40分ごろに復旧した。
一部機能の復旧でシステム障害による顧客への影響はゆうちょ銀が当初見込んだ約1万件(推計)よりは少なくなりそうだが、他の金融機関と相互に振り込みができないなどの不具合は続いており、全面復旧には至っていない。ゆうちょ銀の口座同士の振り込みやカードでの預金の出し入れなどゆうちょ銀口座だけで行う取引には支障はなかったという。
ゆうちょ銀の全国規模でのシステム障害発生は、07年の郵政民営化で発足して以降、初めて。日本郵政グループでは、今月1日から宅配便「ゆうパック」の集配に混乱が生じ、6日までに遅配が約34万4000件にものぼるトラブルを起こしたばかりで、郵政事業への信頼低下が懸念される。
ゆうちょ銀によると、システム障害は12日午後3時22分ごろに発生。全国に約2万6000台あるATMで他行のキャッシュカードが使えなくなったほか、ゆうちょ銀のカードで提携先の他行のATMを利用することもできなくなった。インターネットバンキングサービスの「ゆうちょダイレクト」を通じた他行との取引も不能になった。これまでに提携金融機関とATMで相互に現金を引き出す機能は回復したが、ゆうちょ銀は13日朝までの完全復旧を目指し、作業を急いでいる。【望月麻紀】