2010年7月12日 21時17分 更新:7月12日 23時33分
参院選での民主党大敗を受けた12日の東京株式市場は、日本経済の先行き不透明感が増したとの見方が強まり、様子見ムードに終始した。菅直人首相の掲げる経済政策にも暗雲が垂れこめ、エコノミストからは「財政再建の道が遠のいた」と失望の声が漏れた。【大久保渉】
12日の東証1部の売買代金は、前週の平均(1兆1303億円)に比べ1割近く少ない1兆335億円にとどまった。
日経平均株価は午前の取引で50円近く値を下げたものの、円安の進行で輸出関連株を中心に買い戻す場面もあり、方向感の定まらない展開。午後に入り為替が円高に反転するとジワジワと値を下げ、前週末比37円21銭安の9548円11銭で取引を終えた。「与党の過半数割れは織り込み済み」(大手証券アナリスト)のため下げ幅は小幅で、為替や債券相場の値動きも限定的だった。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は与党大敗により「衆参のねじれ国会で先行きが見通せなくなり、日本株が買い控えられる」と指摘。実際、同日は上海総合指数が前週末比1%近く上昇するなど、アジア株は軒並み上昇しており「日本だけが取り残された格好」(熊野氏)となった。「国民新党の存在力が低下し、貸金業界への規制が緩和される」(大和総研の原田泰氏)など企業にとって前向きな変化を予想する声もあるが、中長期的には経済政策の停滞を危ぶむ声が支配的だ。
消費税増税を軸にした財政再建策の後退も懸念されている。「急激な緊縮財政は景気を冷やしかねない」(大手証券アナリスト)との見方もあるが、国家の財政危機が世界の共通課題となる中で財政赤字を放置すれば、長期的に市場の信認を失い、“日本売り”による長期金利の上昇を招きかねないためだ。
バークレイズ・キャピタル証券の森田京平氏は「与党大敗で景気対策を重視する小沢派や他党を気遣い、増税など財政再建の議論が浅くなる可能性がある。市場の信認を得るには政界再編しかない」と指摘する。