中教審:小中の学級編成基準引き下げなどを提言 分科会

2010年7月12日 20時22分 更新:7月12日 23時11分

 中央教育審議会初等中等教育分科会(分科会長=梶田叡一・環太平洋大学長)は12日、公立小中学校の学級編成基準の引き下げと教職員定数の改善を求める提言案をまとめた。学級編成基準の人数は示していないが、文部科学省は1学級の上限を現行の40人から35人に引き下げ、小学校低学年は30人を検討する方向。近く出される提言を受け、同省が8月に具体的な計画を決めて来年度から段階的に実施する。教員増による予算措置と法改正が必要で、財務省などとの調整や国会審議が焦点になりそうだ。基準の見直しは45人を40人にした80年度以来30年ぶり。

 提言案は、授業時間が約1割増となる新学習指導要領(11年度から順次完全実施)への対応や、いじめや暴力行為などの深刻化を背景に、きめ細かな指導を行うために基準の引き下げが必要とした。高校は基準変更は行わず、学校の実情に応じた教職員定数確保を目指す。また、学級編成の権限を都道府県教委から市町村教委に移譲し、市町村の裁量に任せる制度改正も打ち出した。教員の事務負担軽減のため事務職員などの定数改善も含まれた。

 学級編成の基準は01年度から、都道府県教委の判断で国の標準を下回る設定もできるよう弾力化された。10年度にはすべての都道府県で低学年を中心に上限を緩和している。09年5月現在、1学級36人以上の学級で学ぶ小学生は全体の18.6%、中学生は39.8%で、それ以外は既に35人以下の学級で学んでいる。

 中教審の提言を受け文科省は8月に段階的な教職員定数の改善計画をまとめ、初年度分を来年度予算の概算要求に盛り込む。来年の通常国会で教職員数を定める義務教育標準法の改正を目指す方針。

 民主党政権は、高校授業料無償化に次ぐ教育改革として、教員の質と数の向上を掲げており、参院選マニフェストにも少人数学級の推進を盛り込んだ。【本橋和夫】

 【ことば】学級編成基準 1学級の児童・生徒数の上限で、現在は40人。例えば1学年が80人の場合は40人学級が2クラスになるが、1人多い81人だと27人学級が3クラスになる。各校に配置する教員の数は学級数を基本に算定する。学級編成基準は1947年に50人と定められ、小中学校は64年に45人、80年に40人、高校も67年から69年にかけて45人、93年に40人に引き下げられた。

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