参院選:民主大敗 党内に枝野幹事長らの責任を問う声

2010年7月12日 11時47分 更新:7月12日 13時13分

劣勢が伝えられ厳しい表情を浮かべる民主党の枝野幸男幹事長=東京都千代田区で2010年7月11日午後9時58分、内藤絵美撮影
劣勢が伝えられ厳しい表情を浮かべる民主党の枝野幸男幹事長=東京都千代田区で2010年7月11日午後9時58分、内藤絵美撮影

 11日投開票された第22回参院選は12日朝、改選121議席の当選者がすべて確定し、民主党は44議席にとどまり、51議席の自民党を下回る大敗となった。菅直人首相は同日午前、首相公邸で仙谷由人官房長官、枝野幸男民主党幹事長らと会談し、今後の対応を協議。参院選神奈川選挙区で落選した千葉景子法相を9月の民主党代表選まで続投させ、内閣改造も代表選まで行わない方針を確認した。しかし、党内には、小沢一郎前幹事長に近いグループを中心に首相と枝野氏ら党執行部の責任を問う声も強まっている。

 首相は仙谷、枝野両氏らとの会談で参院の与党過半数割れを踏まえ、「参院の議席の数がこうなり、皆さん方にご苦労をかけることになった」と述べたうえで、「党と政府で一体感をもって段取りをしっかりするように」と指示した。

 仙谷氏は会談後、定例の記者会見で、千葉法相を続投させる方針を決めたことに関して「9月中には党代表選があり、参院の執行部体制も新しく作られる。行政の継続性という観点から続けることが望ましい」と説明した。また枝野氏の交代論について「私のところにはそういう話はない」と語り、続投を支持する考えを強調した。首相はすでに枝野氏を続投させる方針を表明している。

 首相は、千葉氏や枝野氏の交代に伴う内閣改造や党役員人事に踏み切れば、小沢氏に近いグループとの間で党内に混乱が起きることを懸念しているとみられる。しかし、与党内では幹事長交代を求める声が強まっており、枝野氏の処遇が当面の焦点になりそうだ。

 民主党は12日午後、役員会を開く予定で、役員会後、枝野氏が記者会見する。一方、自民党も午後に役員会を開催し、谷垣禎一総裁の続投を確認する。

 小沢氏に近い衆院議員は「現職閣僚まで落選させた。枝野氏の問題ではなく首相本人の問題だ」と語り、今後党内で首相の責任論が高まるとの見方を示した。

 また、枝野氏の続投を首相が早々に明言したことにも党内に波紋が広がっている。党幹部の一人も「首相が言っても、枝野氏の続投は分からない」と指摘。非小沢系の衆院議員は「これだけの大敗だから枝野氏は辞任すると思っていた」と語った。

 首相は12日未明の記者会見で、消費税増税を含む税制改正の必要性を強調、超党派による協議を重ねて呼び掛ける考えを示した。ただ、選挙結果について「議論そのものが否定されたと思っていない」と強気の姿勢を続けており、「首相は勘違いしている。もっと謙虚であるべきだ」(首相周辺)との戸惑いの声が聞かれる。

 首相が消費税についての持論を改めて展開したことにも、首相官邸では「『敗軍の将、兵を語らず』なのにしゃべり過ぎだ。小沢グループに(首相降ろしの)口実を与えてしまう」との懸念が強まっている。首相に近い衆院議員は政権立て直しについて「そんなこと分かるわけない」と気色ばんだ。【坂口裕彦、影山哲也、横田愛】

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