2010年7月12日 11時30分 更新:7月12日 13時6分
民主党が大敗した参院選から一夜明けた12日の東京株式市場は、「ねじれ国会」の再現による政策停滞への懸念から、取引開始直後は売りが先行し、日経平均株価は50円近く反落した。だが、その後は東京外国為替市場で円安・ドル高が進んだため、株式市場では輸出関連銘柄に買いが入り、プラスに転じた。日経平均株価の午後0時50分時点は、前週末終値比33円60銭高の9618円92銭。
円安・ドル高が進んだのは、財政再建の遅れや政治的な混乱への懸念から、外国人投資家らによる円売りが優勢になったため。これに伴い、株式市場ではソニーやホンダなど主力輸出関連株は買いが先行。一方、民主党の目玉政策の「子ども手当」の継続が不透明になったとの見方が広がり、塾など一部の「子育て関連銘柄」は下落した。
市場では、取引開始前から「参院選の結果は織り込み済みで影響は限定的」との見方が多かった。「与党が予想以上に大敗し、9月の民主党代表選まで政治的に不安定な状況が続くのではないか。外国人投資家も連立の枠組みが固まるまで積極的な投資は控えるだろう」(日興コーディアル証券ストラテジストの橘田憲和氏)との声も強く、薄商いとなっている。
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=89円台で取引された。89円台は、6月29日以来約2週間ぶりの円安水準。正午時点は、前週末比62銭円安・ドル高の1ドル=89円07~09銭。
円相場はやや円安傾向で推移しているが、市場では「財政再建路線が後退すれば国債が失望売りを浴び、金利が上昇しかねない。そうなれば円買い材料ともなるため、外為市場の先行きも見極めにくい」(邦銀)との指摘が出ている。【田所柳子、清水憲司】