参院選:「第三極」狙う新党 みんなの党「独り勝ち」に

2010年7月12日 11時17分 更新:7月12日 11時33分

参院選での躍進が伝えられ笑顔を見せるみんなの党の渡辺喜美代表=東京都千代田区で2010年7月11日午後8時4分、森田剛史撮影
参院選での躍進が伝えられ笑顔を見せるみんなの党の渡辺喜美代表=東京都千代田区で2010年7月11日午後8時4分、森田剛史撮影

 民主党でも自民党でもない「第三極」を目指し、相次いで結成された新党が挑戦した今回の参院選。結果は、比例代表で7議席、選挙区で3議席を獲得し、改選議席ゼロから一挙に10議席に躍進したみんなの党の「独り勝ち」に終わった。与党時代の自民を離党して渡辺喜美代表が結党したみんなの党が、結党1年足らずで公明党を抜いて「改選第3党」に躍進する一方、野党転落後の自民離党者らが4月に結成したたちあがれ日本と新党改革は、いずれも比例の各1議席と伸び悩んだ。

 みんなの党は選挙区21人、比例23人の計44人の公認候補を擁立。改選数3の神奈川で2位当選し、民主の千葉景子法相がはじき出される形で落選。5人区の東京と3人区の千葉では、共産、民主候補との競り合いを制し最後の議席に滑り込んだ。3人区の愛知は3位の民主候補に迫る次点で、2人区でも兵庫、静岡、福岡で民主の2人目候補や民主系無所属を上回り、次点につけた。

 比例代表が導入された83年以降に結成された新党を見ると、初挑戦した参院選で10議席以上を獲得したのは95年の新進党(40議席)、98年の民主党(27議席)、89年の連合の会(11議席)の3党。「新党ブーム」の火付け役となった日本新党が92年参院選で獲得した4議席を、大きく上回った。

 躍進の背景には、全国の保守系地方議員を中心に一定の選挙基盤を既に作り上げていたことがある。渡辺氏は09年1月の自民離党後、江田憲司幹事長らと全国を回って賛同者を募り、同年8月の衆院選直前にみんなの党を結成。その後も、2大政党に不満を持つ有権者を取り込むことを念頭に、地方の首長選や議員選で候補者を積極的に擁立し、ネットワークを張り巡らせてきた。

 鳩山政権下でみんなの党は支持率を伸ばしたが、菅政権誕生で一時、支持率が下落。それでも菅直人首相が消費税の税率引き上げに言及したことで、「増税なしの財政再建」を主張し続けてきたみんなの党がクローズアップされ、消費税に反発する有権者の受け皿になったことも追い風になったとみられる。

 毎日新聞が7、8日に実施した電話世論調査でも、09年衆院選の比例代表で民主に投票した層の17%、自民に投票した層の13%が今回の参院選比例代表でみんなの党に投票すると回答。「支持政党なし」と答えた無党派層でも、比例投票先で同党を挙げたのは14%で自民(13%)を抜き、民主(28%)に次ぐ位置につけていた。

 一方、鳩山政権や民主党の支持率が低迷した4月に発足した、たちあがれ日本と新党改革は苦戦。たちあがれ日本は13人(選挙区4人、比例9人)、新党改革は12人(同7人、同5人)を擁立したがいずれも比例の1議席にとどまった。民主、自民、みんな各党との違いをアピールしきれずに埋没した形だ。東京都杉並区の山田宏前区長が党首の政治団体・日本創新党は議席を獲得できなかった。【西田進一郎】

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