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質問なるほドリ:ホメオパシー療法って?=回答・小島正美

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 ◆ホメオパシー療法って?

 ◇病気と似た症状作り治療 自然治癒力利用、効果に疑問も

 なるほドリ 山口県で昨年10月、ビタミンK欠乏性出血症で2カ月の赤ちゃんが死亡して、裁判になったらしいね。

 記者 助産師がホメオパシー療法として、ビタミンKの代わりに特殊な錠剤を投与、母親が提訴しました。

 Q ホメオパシーって?

 A ドイツのハーネマンという医師が18世紀末、生み出しました。病気と似た症状を引き起こす物質を服用して病気を治すとされる療法です。例えば熱が出た時は、顔が赤くなって熱が出たかのような症状を起こす植物のベラドンナを活用します。体は熱が来たと判断し、自然治癒力で熱を下げようとします。

 Q 症状を起こす物質って?

 A レメディーと呼ばれる錠剤です。原料はトリカブトなどの植物、ハチなどの動物、鉱物など数千種類あります。その物質を何回もかくはんして水などで薄めたものを服用します。元の物質が検出できないほど薄まっていますが、実践する人たちは「水がその物質を記憶しており効果がある」と主張しています。

 Q 本当に効果あるの?

 A そこが議論になります。現代医学では、「元の物質がほとんど残っていないのに、水が記憶するというのは荒唐無稽(むけい)な主張で科学的な根拠はない」(唐木英明・東大名誉教授)や「鍵となる概念の多くが現代科学の常識とかけ離れている」(杉森裕樹・大東文化大大学院教授)という意見が大半です。

 Q 各国で行われているの。

 A ドイツ、英国、フランス、米国、インドなどで盛んです。英国ではホメオパシーの病院もあり、公的な健康保険の対象にもなっています。ただ、05年に英医学誌ランセットに「ホメオパシーの効果は偽薬の効果と同じ」との論文が出るなど、有効性について議論になっています。国内では複数のグループがありますが、健康保険の対象にはなっていません。

 一方、民主党は、西洋医学に代替療法を取り入れた「統合医療」の推進を政策に掲げており、厚生労働省は今年2月、プロジェクトチームを発足させ、効果や安全性の検討を始めました。

 Q 亡くなった乳児はかわいそうだね……。

 A 厚労省研究班は新生児にビタミンKを投与するよう指針を出しています。裁判では患者が有効な治療を受けたかどうかが争点になると思われます。国が、代替療法の科学的根拠の有無を情報発信する必要があるでしょう。(生活報道部)

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 なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

毎日新聞 2010年8月15日 東京朝刊

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