2010年7月8日 20時37分 更新:7月8日 21時1分
大日本印刷は8日、約10万点の作品を扱う国内最大級の電子書籍販売サイトを今秋開設すると発表した。米アップルの「iPad(アイパッド)」のような読書端末のほか、パソコンや多機能携帯電話(スマートフォン)など、あらゆる端末での利用に対応する。2011年中には中規模書店並みの30万点まで作品数を拡大する方針。今後、電子書籍の制作から流通、販売までを総合的に請け負うサービスも開始するとしており、出版業界で電子書籍への取り組みが一気に加速した形だ。
販売サイトでは電子書籍のほか紙の書籍も販売する。さらに丸善やジュンク堂など大日本印刷傘下の書店と連携し、読者がほしい本を「紙でも電子でも読みたい形でいつでも購入できるハイブリッド型総合書店」(同社)を目指す。サイトと書店で共通で使える会員カードを発行し、利用ごとにたまるポイント制導入も計画している。
今後、紙の本の印刷に加え、電子書籍の制作や販売を請け負うほか、著作権管理や印税の支払い業務なども代行し出版社の電子書籍ビジネスを支援する。傘下の電子書籍専門取次会社などを通じ、他の販売サイトや書店にも流通させる。大日本印刷は、5年後に電子書籍販売事業で500億円の売り上げを見込んでいる。
電子書籍については、凸版印刷も既に制作から配信までを請け負い、販売では紀伊国屋書店と提携する計画を発表。大手取次のトーハンも電子書籍の配信への参入を表明している。【佐々本浩材】