日本国債:中国の買いが急増 欧州の金融不安でシフトか

2010年7月8日 20時32分

 財務省が8日発表した5月の国際収支(速報)によると、中国の対日証券投資額の買い越し額が7352億円と、4月の1978億円から急増した。ギリシャの財政危機に端を発する欧州の金融不安が深刻化したことで、中国政府が外貨準備をユーロから、日本国債にシフトさせたためとみられる。長期化すれば、国債市場などにも影響を与えそうだ。

 5月の買い越し額の内訳は短期債6948億円、中長期債404億円で、債券のほとんどは国債とみられる。中国による対日証券投資は、09年が800億円の売り越しとなるなど低調に推移してきた。今年に入り買い越しが続き、1~5月の累計買い越し額は約1兆3000億円に達した。

 中国政府は08年秋の金融危機後、ドルに偏った外貨準備の運用を多様化する方針を表明し、ユーロの運用比率を高めていたとされる。今年に入ってからのユーロの急落で、「一時的な退避先として、ユーロ債から短期の日本国債に外貨準備を振り向けている」(日興コーディアル証券の末沢豪謙氏)模様だ。日本国債の買い越しが続けば、国債価格の上昇(金利は低下)要因になるほか、「中長期的には円高につながる」(外資系証券)との見方もある。【坂井隆之】

top
文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド