8月14日から全国ロードショーされる映画『きな子~見習い警察犬物語~』や、テレビのバラエティ番組、テレビドラマなど幅広い活躍をみせる浅田美代子さん。保護犬を自ら救済するなど根っからの犬好きは芸能界の間でも有名です。今回はそんな浅田美代子さんに犬とヒトについてお話をうかがいました。
もちろん良いブリーダーもいますけど、あまりにも酷いですよね
藤村:保護犬アヴィちゃんを家族として迎えていらっしゃる浅田さんですが、ペットの現状に対しては、どのように感じていらっしゃいますか?
浅田:もちろんいいブリーダーさんもいると思いますけど、酷い業者も存在します。あまりにも酷いですよね。動物を生き物として扱っているという感じがしません。それに、ペットショップに行けば、誰でも購入できることもおかしい。ちょっと大きくなるとセールって。小さいうちなんてほんのわずかな期間ですから。もっと大事に生き物の事も考える社会になって欲しいです。
藤村:確かに、ペットショップに行けば誰でもすぐに飼い主になれてしまいますよね。
浅田:そうなの。「小さければ小さいほどいいから」と売ってしまう業者と飼う側の意識の問題ですよね。母親から早く離しすぎだと思いますよ。よく欧米では、8週齢までは親犬から離さないことを条例や法律で決めている地域も多いですよね。社会性を身につけないうちに、子犬を引き離し、販売する事を厳しく規制しています。なのに日本では、小さい方が売れるからという理由で、生後30日位で売られている。幼いうちに市場に出されてしまうから、飼われた先で、結局、吠え続けるとか、噛むとか、問題行動を助長させてしまうでしょ。それは犬の問題ではなく、人間側の問題なのだと感じています。
犬は飼い主を選べない。だからこそ飼う責任を持たないといけませんよね
藤村:殺処分されてしまう犬が年間約8万頭といわれていますがどのように思われますか?
浅田:犬は飼い主を決められない。だからこそ飼う人は責任を持たないといけませんよね。病気もするし、年をとったらそれなりに手もかかるし。でもそこが可愛いと思うんだけど、高齢になったとたん捨てる人も多いでしょ。はじめから、ちゃんと覚悟して飼っていたんですか?って聞きたくなる。歩けなくなったからという理由で、10年も家族でいた犬を、面倒みきれないと簡単に捨てるとか。3日だって情は移るのに、私にはとても考えられないです。本当に信じられない。犬だって生きていて感情もあるんです。酷いですよね。
藤村:捨てられる数はとても多いのに、まだまだ譲渡率が低いですよね。
浅田:ペットショップからではなく、保護された動物を家族として迎え入れる状況が、もっと増えてくれたらと思います。それに海外では保護された犬を、聴導犬やセラピードックに訓練して社会に戻す取り組みも活発ですよね。そのような動きが日本の社会にも浸透しないかなって。以前、何かで見たのですが、殺人や犯罪を犯した人が、捨てられて人間になつかない犬を、お座りとか待てとか訓練して、徐々に立派なワンちゃんに育て、新しい飼い主へと譲渡するんですね。そして貰われてる時に、泣きながらお別れをするんです。犯罪を犯した人は、犬の救済活動に携わったからこそ、優しい気持ちになれたと思う。これは犬にとっても、ヒトにとってもお互いにとって良い事。こうゆうのって凄くいいなって思いました。
藤村:浅田さんは、動物愛護法改正の為の署名活動も積極的に行っていますが、どのような部分が良くないと感じていますか?
浅田:誰もがブリーダーになれるということが、おかしいしですよね。明日から、藤村さんや私が、「あっブリーダーになろう」って思ったら、動物取扱業に登録さえすればなれるわけじゃない。あまりにもハードルが低すぎて、結局、お金儲けしか考えない、治療も施さない悪徳ブリーダーになるケースって非常に多いですよね。その部分は、免許制にするとか、厳しく規制しないと。一回もケージから出されずに、きちっとしたフードも与えられずに、産むだけ生まされて、必要なくなったら、殺すなり、餓死させるなり。そんなこともありますよね。見つかった時には、骨と皮だけでがりがりの。あの子達は、どれだけつらいかと考えるだけで涙が出てきます。本当に拷問ですよ。
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現在も動物愛護管理法を見直す会の署名活動を、自ら積極的に行う浅田美代子さん。他にも物資の提供や、保護犬を迎えたりと、犬を好きな人は多くいても、犬が置かれている現状を改善しようと活動する人はまだまだ多くはありません。そして実際に行動を起こす人こそ、真の愛犬家といえるのかもしれませんね。そんなパワーと優しさを、浅田美代子さんの取材を通じて感じさせられました。
8月14日より浅田美代子さんが出演される映画『きな子~見習い警察犬物語~』が公開!見習い警察犬と、見習い訓練士の実話から生まれた映画です。
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浅田美代子さんプロフィール
テアトル・ド・ポッシュ所属。1973年デビュー以来、テレビドラマ、映画、バラエティー番組などで幅広く活躍。保護犬アヴィちゃんを家族として迎え入れ、動物愛護を推進する活動にも積極的に取り組む。動物にも優しい社会を目指し、署名を集めるなど動物愛護法を改正する活動にも力をいれている。
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