昭和18年。海軍は航空兵不足の解消のため、全国の中学校(旧制)に甲飛予科練習生の志願者数を強制的に割り当てた。
愛知一中の割当ては47人。しかし、名門校を自負する生徒たちは戦争を冷ややかに見ており、
愛知一中の3年生・藤山正美(池松壮亮)もその一人だった。正美にとって、
端艇部(ボート部)の親友・笠井光男(太賀)と文学や将来について語って過ごす時間が何よりも大切だった。
志願者の少なさに焦った軍部は、校長を通じて『時局講演会』を開き、生徒への指導強化を命じる。
正美の父・順一(高橋克典)は同校の英語教師で、戦争に賛成ではなかったが、それを明確に口にすることはできなかった。
7月5日、700人の生徒が集まった柔道場では、軍人たちが悲痛な戦争体験を話し、
教師は名門一中の生徒として進んで戦場に行くべきだと語る。
熱狂の中、お国のために役に立ちたいと使命感に目覚めた純真な生徒たちは、次々と志願を誓う。
冷静に聴いていた正美までもその空気に飲み込まれ、「戦場に行く」ことを宣言した。