Update: 08-13 15:49
“昇進の為に僕たちをスパイに仕立て上げようとした”

[平壌映画旅行記]‘突撃隊’精神で休まず映画鑑賞
ヨハネス シューンヘル
[2010-08-13 11:36 ]  
ドイツ人の文化芸術評論家ヨハネス シューンヘル(Johannes Schoenherr)氏の旅行記を連載します。[平壌映画旅行記] ニューヨーク大で映画を選考したヨハネス氏は北朝鮮の映画に興味を持ち、1999年に平壌で開かれた朝鮮映画祭に参加します。その時の経験を元に2002年にTrashfilm Roadshows (published by Headpress, Manchester)を出版しました。この本の一部を抜粋し連載する事になりました。ヨハネス氏は現在日本在住で、旅行、映画、音楽などのフリー作家として活動中です。
彼が出て行くとすぐにニコラスが狂ったように笑い始めた。「来てくれてほんとうに有難う!あなたが現れてから態度が一変したでしょ。あなたが来る前の雰囲気が分かりますか? 本当にぞっとしますよ!私はその間ずっと撮ったビデオを見せなければならなかったし、彼らの質問攻めにも遭いました。

「この場面はなぜ撮ったのだすか? あれは? あなたはスパイですか? この写真で何をするつもりですか?」私は彼らがテープをすべて持っていくと思ったんですが…また、写真はどこにあるのかと尋ねられそうで…」「フィルムに関しては何と言ったんですが?」「もちろんちょっとした言い訳を考えていましたよ。ラオスで国境守備隊をだます時も通じましたからね。ここでも通じるだろうと思ったんです。何かと言うと、撮ってもいない写真に火をつけるのです。そして私は『このバカどもめ、お前らのせいで私の写真はすべて駄目になったではないか!」と大騒ぎすれば良いのです』だから、万が一の時はラオスで使った方法で対処しようと思っていましたよ」

僕たちはこの一件について各自の見解を述べた。ニコラスはキム先生が2年前のオーストラリア作家事件を挽回するために、スパイを捜し出そうとしていると話した。そしてソク同志がスパイを捜し出そうとする理由は昇進するためだというのだ。

僕を招請した人が高位職にいたので僕は運が良い方だった。西側で北朝鮮映画を紹介する変わった西洋人を捜し出したのは、そう、高位職のペク先生だった。チェ先生は単なる通訳に過ぎず、特に重要な人物でない。彼女はただ外部から来た人に興味があるだけだ。

それで僕は気楽に過ごすことができたし、ニコラスを助けることができる位置にもあった。ところで、僕の考えは、ニコラスは少し危険な人々と関わりがある人物だ。ソク同志は西ヨーロッパとの取り引きを担当していて、パリにも何度も行ったことがあり、おそらく放蕩な生活をしていただろう。だが、パリから帰ってくる時に、彼は何の成果もなかった。それでペク先生が私を招く際にニコラスも招いたのだが、実際ニコラスはソク同志が考えていたような人ではなかった。ソク同志はニコラスを映画の配給業者だと考えていた様だ。ソク同志は大変、慌てたであろう。もしかしたらペク先生に叱責されたかもしれない。

実は、朝鮮映画輸出入社は僕たちの費用を一切援助していない。その上ニコラスはカメラを持ってあちこちで問題を起こし始めた。それを見てキム先生もただ怖くなったのだろう。前回も似た訪問客のせいで大変な苦労をしたからだ。ニコラスはただ単に観光客の様に写真を撮ったのではなく、本を出版する予定で北朝鮮を訪問した。 だが、ここは北朝鮮なので、それが認められなかったのだ。ニコラスと僕は意見が一致したことが一つあった。キム先生は怖気づいていたし、とても詳細に報告書を書くソク同志は、目的の為にはどんなことでもする人だ。僕たちが警察へ行く様な事がなければ、大きな危険はないだろうということである。ただ僕たちが何かを感じるとしたら、単に自宅軟禁状態のような圧迫感と、全ての行動に制約がある負担程度だろうか。

朝鮮民主主義人民共和国の開国日であり国家記念日を迎えた。しかし、僕たちには休日ではなかった。 やはり休日も平日と相変わらず、突撃隊の精神で一日中映画を見た。映画で、または道路でも突撃隊をしばしば見た。常に制服姿の青年突撃隊が橋や道路、建物を建設した。

その中でも僕は可愛い制服を着た突撃隊少女が気に入った。『突撃隊精神! 休日なし! さらに多くの映画を!』おっと、冗談がちょっと行き過ぎたか…。実は映画輸出公社には、このような精神はあまりないようだった。彼らは映画が一本が終われば休息した。また、上映の途中に時々停電になることがあった。「これは米帝国主義者のせいなんです」と、チェ先生が説明した。「私たちはあいつらのせいで原子力発電所も作れないのです。彼らは軽水炉を建設すると約束したにもかかわらず、未だに何も作ってくれないのです。」
10.08.10
       
  1,400 1,600 1,500
  1,050 1,100 1,200
今日のニュース
最も多く読んだ記事
 
会社紹介   |    お問い合わせ   |    個人情報保護政策   |    著作権規約   |    提携のお問い合わせ   |    記者室   |    このページをスタートページに設定する ・ お気に入りの追加
全ての記事   |   デイリーNK論説   |   国際   |   分析   |   政治   |   社会   |   一般の記事   |   特別会員のスペシャルコーナー   |   デイリーNK100%活用方法!
ARTICLE 北朝鮮の内側    脱北者の話し    金正日大解剖    拉致問題   
インタビュー    企画
COLUMN デスクコラム    客員コラム    取材ファイル    北朝鮮メデイアの分析   
北朝鮮の民主化    世界の民主化    ファンジャンヨプとの対話   
対北経済活動の16年   教化所の実態   平壌映画旅行記
MEDIA 写真 / 動画 COMPANY 代表のご挨拶    編集者ご挨拶
The Daily NK, Brightening the Future of Korea
2nd F. Hongsung bldg., 18-5 Chebu-dong, Jongro-gu, Seoul, ROK
Tel. 82-2-732-6998  |  Fax. 82-2-732-6711
日本事務所(tel 090-6020-3788)

Copyright(c) DailyNK . All Rights Reserved. Contect : japan@dailynk.com for more information