練習中に険しい表情を見せる闘莉王(中)=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(塚田陽一郎撮影)
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名古屋グランパスDF田中マルクス闘莉王(29)が13日、6年間を過ごした古巣に“恩返し”の勝利を誓った。14日の浦和戦(豊田ス・19時開始)に向けて、闘莉王は「オレをクビにしたクラブ。結果を出さないと」と闘志むきだし。チームは愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで最終調整し、負傷あけのMF中村直志(31)がメンバー入りした。
愛憎半ばする古巣・浦和との初対決。複雑な胸の内にふたをした。プロの生きざまを見せつけるだけ。闘莉王が、心を鬼にした。
「長い間一緒にプレーした仲間だから、やりづらい。ただ、オレをクビにしたのは浦和。だから、結果を出さないといけない。さらにモチベーションを高くやらないといけない」
6年間を過ごし、数々の栄光をつかんだ。共に闘った仲間との友情は今も変わらない。ただ、ピッチの上で感傷は要らない。「僕らは優勝を目指している。落とせない」と言い切った。
週半ば、下位に低迷する古巣を「選手は戦っているし、がんばっている。だけど、上がしっかりしないと勝てない」と評した。自らを戦力外としたフィンケ監督と浦和フロントに対する痛烈な皮肉だった。「プロとして果たさないといけないものがある」。男の意地とプライド、反骨心を見せつける一戦となる。
埼スタでの5月の対戦は累積警告で出場できず、チームも敗れた。今度は違う。FC東京戦の劇的決勝弾をはじめ、神懸かり的な勝負強さで赤鯱軍団をけん引する闘将の口調が強まった。
「名古屋はいい感じできている。少々悪い内容でも、勝てて自信になっている。豊田スタジアムにさらにお客さんに来てもらうためにも、一試合一試合、ホームで勝ち点を稼ぎたい」
今は名古屋の一員として、悲願の優勝へ全力を尽くすだけ。勝てば清水の結果次第で首位浮上も。立ちはだかる相手は、どこであろうとたたきつぶす。 (塚田陽一郎)
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