ホテル非常階段に自転車に乗った死体が…

　８月初め、堺市のホテルで、男性が自転車にまたがった状態のまま死亡しているのが見つかっていたことが、１３日までに分かった。現場は地下に通じる非常階段の踊り場で、従業員らは約２カ月ほど立ち寄っていない“死角”スポットだったという。司法解剖の結果、事件性はないとみられ、推定死亡時期は７月末ごろと判明したが、死因は不明のまま。熱中症などによる突然死の可能性もあるが、自転車で入らないような場所だけに、死に至る状況は「謎」に包まれている。

　現場は、堺市堺区の繁華街中心部に近いホテル。大阪府警堺署の調べでは、８月３日朝、ホテルのオーナーが「ごみが腐ったような異臭がする」と気づき、男性従業員（５４）が、異臭発生場所を探した。同午前９時１５分ごろ、この従業員がホテル屋外にある地下１階に下りる、非常用外階段の踊り場で、自転車にまたがったまま死亡している男性を発見。同署に通報した。

　男性は中肉中背で、地下１階入り口の非常用扉にもたれかかるような姿勢だった。半袖のＴシャツに、白いズボン、白いスニーカー姿。バッグなどの目立った所持品はなく、ポケットに数千円の現金とハンドタオルが入っていた程度だった。間もなく、同区に住む職業不詳の４０代男性と身元が判明。トラブルや争った跡は確認できなかった。

　４日、司法解剖したところ、外傷がないことや推定死亡時期が７月末ごろであることが判明したが、死因は不明。同署では「事件性はないとみている。熱中症や突然死などの可能性はありうる」と話しているが、断定できない状況だ。

　現場は出入りが自由だが、階段があるため、一般的に自転車で下りやすい場所ではない。防犯カメラにも写らないポイントで、男性がこの踊り場に至った足取りなども分からないままだ。同ホテルの宿泊歴もなく、従業員だったこともないという。男性の遺体はすでに、家族に引き渡されている。

　ホテル側の同署への説明では、この踊り場付近は約２カ月間、従業員が立ち寄らない場所だったといい、発見した男性従業員は取材に対して「約２カ月前に、掃除するために踊り場に行ったが、自転車も何もない状態だった。普段人の出入りはなく、なぜあそこにいたのかは不思議だ」と話した。「変死」に、何らかの薬物摂取の影響があったかどうかについては現在分析中で、まだ結果が出ていない。

　［2010年8月14日9時39分　紙面から］