アメリカのオバマ大統領は、メキシコからの不法移民の流入を防ぐことを目的とした国境警備を強化する法案に署名し、法律が成立しました。不法移民に対する国内の不満が高まるなかで対策を強化していることをアピールするねらいがあるとみられます。
不法移民問題をめぐっては、オバマ政権の対策不足を批判するアリゾナ州が、摘発を強化する独自の法案を成立させるなど、取締まり強化に向けた動きを見せる州が増えています。こうしたなか、オバマ大統領は、みずからが呼びかけて議会の上下両院が可決した国境警備を強化する法案に13日、署名し、法律が成立しました。これによって総額6億ドル(日本円にして510億円余り)をかけて、警備担当者など1500人の増員と、国境周辺を上空から監視する無人偵察機などの拡充が図られ、メキシコとの国境の警備が強化されることになります。オバマ大統領としては、不法移民に対する国内の不満が高まるなかで、対策を強化していることをアピールするねらいがあるとみられます。アメリカ国内で1100万人に上るとされる不法移民をめぐっては、オバマ大統領が、その市民権の獲得に道を開く移民制度の改革を公約に掲げている一方で、野党・共和党の一部には強制送還など、より強硬な取締まりを求める声が強く、ことし11月の中間選挙に向けて大きな争点になりそうです。