大阪市住之江区のラーメン店で先月27日、訪れた男性客が「これで子どもにラーメン食べさせたって」と現金100万円を置いて立ち去った。店はすぐ拾得物として府警住之江署に届ける一方で、「お客さんの思いに応えたい」と今月2日から6日まで1杯650円のラーメン計1540杯を高校生以下の子どもに無料提供した。子どもたちは「お礼が言いたい」と「100万円おじさん」を捜している。
店は「麺匠味冨久(めんしょうみふく)住之江本店」。店によると、男性客は、27日午後3時ごろ1人で来店。ラーメンなどを食べ、帰り際、代金として新札の束を置いていったという。35歳くらいで眼鏡をかけていた。28日、この男性客から店に「子どもにラーメン食べさせてくれてる?」と確認の電話があったという。
警察に届け出た拾得物は、落とし主が3カ月たっても見つからない場合に限り拾った人のものになるが、中川一郎店長(35)は「近くの競艇場で大当たりを出した人かもしれない。暗い話題が多い中、良い話で気持ちに応えたい」と、3カ月待たず、店の持ち出しでサービスを始めた。
初日は、近所の中学のサッカー部員ら約70人が来店。その後、口コミで広がり、集まった子どもたちで行列ができるほどに。「お礼が言いたい」という子どもたちのために、店は似顔絵を張り、子どもたちに「会ったらお礼を」と呼び掛けている。また、店内には「おじさんありがとう」「今度はオレの家に100万円ちょうだい」などラーメンを食べた子どもたちのメッセージも張られている。【林由紀子】
毎日新聞 2010年8月7日 10時55分(最終更新 8月7日 13時41分)