東京都足立区千住5の無職、加藤宗現さん方で、加藤さんとみられる白骨遺体が発見されていたことが分かった。警視庁千住署によると、死後約30年が経過しているとみられる。同居していた孫の女性(53)は千住署に「(祖父は)約30年前から真言宗の教義に従い食事や水を一切取らず自室に閉じこもっていた」と説明しているという。親族は、6年前に死亡した加藤さんの妻の遺族共済年金計約945万円を受給しており、同署は保護責任者遺棄致死や詐欺の疑いもあるとみて捜査している。
同署によると、加藤さんは1899(明治32)年生まれで、生存していれば都内男性で最高齢の111歳だった。加藤さん方は長女(81)と長女の夫(83)、孫2人(49歳と53歳)の5人暮らし。今年6月、足立区から千住署に「加藤さんに面会したいが、親族が会わせてくれない」と相談があり、署員が7月26日に区職員らと自宅を訪問した。その際、孫(53)は「祖父は元気にしている。他人との接触は拒んでいる」と話したという。
しかし、2日後に孫が千住署を訪れ「(加藤さんは)約30年前から教義に従い1階の自室にこもり、水も食事も取らずに暮らしている。今年3月に部屋の中を見たら白骨化した祖父が見えた」と説明したため、署員が1階の部屋を確認したところ、白骨化した加藤さんを発見したという。
同署の捜査で、加藤さんの妻は04年8月に死去しており、04年10月~今年6月まで遺族年金総額約945万円を受給していたことが判明した。7月中旬には加藤さんの銀行口座から遺族共済年金が6回にわたり計約270万円引き落とされていたという。同署は、親族が加藤さんの死亡を知っていたとみて事情を聴いている。【神澤龍二】
毎日新聞 2010年7月29日 13時12分