2010年6月19日 21時55分 更新:6月20日 0時59分
【北京・浦松丈二】中国人民銀行(中央銀行)は19日、人民元の為替レートの「弾力性を高める」と発表した。人民元レートは08年夏から対ドルで事実上固定されていたが、週明けの21日から切り上げを再開する方針とみられる。26日からカナダ・トロントで開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、人民元改革に取り組む姿勢を示し、外交交渉を有利に運ぶ狙いがありそうだ。
弾力性を高める具体的な方法について、人民銀報道官は「05年7月に発表した変動幅を継続し、人民元レートの管理、調整を実施する」としている。当時採用した1日当たりの変動幅(基準値の上下0.5%以内)は、対ドル固定で機能を止めていたが、事実上運用を再開し、緩やかに切り上げていく見通しだ。
人民元問題を巡っては、米議会などが「安い中国製品が米国の雇用を奪っている」などと強硬に切り上げを求め、中国側は「外圧の下では人民元の為替制度改革を進めない」(胡錦濤国家主席)と強く反発してきた。
人民元相場は05年7月の為替改革以降、08年7月までに約21%上昇。国際金融危機の深刻化を受けて、08年夏以降は輸出企業への影響を考慮して1ドル=約6.83元でほぼ固定してきた。
人民銀の発表を受け、ガイトナー米財務長官は19日、「為替レートの柔軟性を高める中国の決定を歓迎する」と表明。野田佳彦財務相も同日「世界経済の安定と均衡ある成長に貢献することを期待する」とのコメントを発表した。