2010年6月18日 12時36分 更新:6月18日 13時26分
グレーゾーン金利分の支払い済み利息を「過払い金」として返還するよう貸金業者側に命じる判決が全国で相次いでいることについて、神戸地裁社(やしろ)支部(兵庫県加東市)の山本善平裁判官が今年3月、担当した返還請求訴訟の判決で、「司法ファッショと批判されかねない」などと指摘していたことが分かった。
原告は兵庫県の女性。昨年9月、東京の大手消費者金融会社に利息制限法の上限(年15~20%)と出資法の上限(同29・2%)の間のグレーゾーン金利分約240万円の返還と、その利息5%の支払いを求めて提訴した。
山本裁判官は判決で、約118万円の返還を命じた一方、貸金業法の「みなし弁済規定」が条件次第でグレーゾーン金利を認めていたことなどから、「被告は悪意の受益者ではない」として5%の利息請求は退けた。女性は大阪高裁に控訴し、今月和解が成立した。
また、山本裁判官は「06年1月の最高裁判決で(みなし弁済規定の)適用が急に厳格になった」と指摘。その上で「下級審全体が(最高裁判決に)いささか過剰に反応している」「司法が要件を厳格に設定して(規定を)事実上葬り去るのは、よくよく考えれば異常な事態」などとした。
みなし弁済規定は、一定の書面が交わされ、債務者も納得したグレーゾーン金利を認めていたが、18日の改正貸金業法の完全施行で規定は廃止された。【山川淳平、久野洋】