文部科学省が公表した中学校の新学習指導要領の解説書に、竹島の領有権問題が明記されたことをめぐり、各自治体で企画されていた日韓交流のイベントが相次いで中止になる事態が発生している。ネット上でも日韓のネットユーザーが「激論」を展開しており、「竹島問題」を巡る日韓関係はさらにヒートアップしている。
北九州市、新発田市、岡山市と相次いでイベント中止
中学校の新学習指導要領の解説書に、竹島の領有権問題が明記されたことを受け、日韓の交流イベントの中止が相次いでいる。北九州市では、1988年に姉妹都市となった韓国・仁川市で7月19日に開催される予定だった姉妹都市提携20周年記念イベントが急きょ延期された。同市によれば、仁川市から7月16日に「苦渋の選択」としながらも、竹島問題を理由に延期の申し入れがあった。イベントでは、北橋建治市長や市議会議長が訪韓する予定だった。延期ということだが、同市国際交流課によれば「今は難しい状況」で開催の目処は立っていない。
「20年という記念すべき年で関係者も準備をしてきた。非常に残念だ」(同市国際交流課)
新潟県新発田市と韓国・議政府市との間で行ってきていた小中学生による「日韓親善スポーツ交流大会」も中止となった。81年から毎年開催されていた同大会だが、08年は8月1日〜3日に新発田市の小中学生61名が訪問する予定だった。同市の片山吉忠市長は「心待ちにしていた当市の子どもたちの心情を思うと心の痛むところ」「外的な問題に影響されない相互の信頼関係を築いていくことが重要だ」とするコメントを発表している。
岡山市でも、韓国・富川市と02年から続けてきた交流事業の中止を決めた。こちらも富川市から「(竹島問題で)日韓両国に微妙な葛藤が生じた」などとして、富川市長らが岡山市に訪問するはずだった予定の中止を申し入れてきた。
同市の高谷茂男市長は竹島問題を受けての訪問中止について、
「国際友好交流都市締結以来、本市と富川市は、市民レベルでゆるぎない交流を行ってきたにもかかわらず、このたびの交流が中止になったことは、思いも寄らぬことで誠に遺憾ではありますが、今後も市民レベルでの交流を大切に継続してまいりたいと考えております」
とコメントしている。
対馬も韓国の領土だ、という主張も現れる
さらに、学習指導要領の竹島明記に韓国側が強硬に反発していることから、シンガポールで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3か国との外相会議の期間中に開催が模索されていた日韓外相会談も見送られることが濃厚になった。また、7月16日の中央日報は、ハンナラ党の許泰烈(ホ・テヨル)最高委員が、竹島問題に関して、「独島(竹島)が韓国の領土と主張するより、対馬も韓国の領土と主張するのが効果的な対応方法だ」と述べたなどと報じ、日韓交流の翻訳掲示板「enjoy Korea」でも「対馬島は元々韓国の領土、早く返還して」「韓国の地である対馬島から、泥棒国日本はすぐに出ていって」といった書き込みが相次いだ。日本側からも「国際法的には日本の領土」「じゃあ、国際裁判に提訴すれば?」といった反論も展開されており、まさに日韓サイバーバトルの様相だ。「竹島問題」はとんでもない事態に発展しつつあるようだ。