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きょうのコラム「時鐘」 2010年8月14日
「非行少女」や「不良少年」などいう表現が使われなくなった。今も、異様な姿で繁華街を徘徊(はいかい)する若者はいるが、彼らを何と表現していいか分からない
複雑な思いで1963(昭和38)年制作の日活映画「非行少女」を金沢の赤羽映画祭で見た。この映画を香林坊の映画街で見た記憶がある。47年も前に見た映画を、同じ香林坊近くで見る感慨は、画面とはまた別にあった 映画街が消滅して久しい。大衆娯楽の変化は時代の流れで仕方のないことだが、繁華街の魅力は、夜のネオン街と若者のファッション店だけで生まれないことを映画街消滅の歴史は物語っている。表通りから本屋もレコード店も消えていった 映画街の集客力はデパートの催事場と同じで、上映後の人波を街に流した。映画を見た後の興奮や感動を、そぞろ歩きの中で繰り返す至福の時があった。街もひとつの劇場であり物語の舞台だった。若者も年配者もいての繁華街だ。一色に染まらず猥雑(わいざつ)でいい JR金沢駅前のファッションビル内に映画街、本屋、レコード店がよみがえっている。街の再生を考えさせる昭和30年代の映像だった。 |