仙台市の私立常盤木学園高の数学教諭、松本秀夫さん(当時56)が自宅前で殴殺された事件で、殺人容疑で逮捕された会社役員の松山哲士容疑者(38)と、12日に同容疑で逮捕された松本さんの妻の無職、美代容疑者(44)が不倫関係にあったことが分かった。美代容疑者は、かねてから松山容疑者に夫への強い不満を口にしており、2人の意を受けたすし店経営、梅原啓容疑者(27)が殺害を実行したとみられる。
宮城県警などによると、美代容疑者は松山、梅原両容疑者と共謀し、4月30日夜、金属バットで松本さんの頭を殴るなどして殺害した疑い。松山容疑者が、仙台市内のホテルからメールで梅原容疑者に殺害実行を指示したとみられ、梅原容疑者は「1人で殴殺した」と容疑を認めている。美代容疑者は事件当時、市内の知人宅に外出しており、「事件とは一切関係ない」と容疑を否認している。
松山容疑者は松本さんと塾講師時代の同僚で、梅原容疑者は当時の生徒。松山容疑者と梅原容疑者は最近まで松本さんの自宅に頻繁に出入りしていた。そんななかで松山容疑者は、松本さんの常盤木学園高校の教え子で妻になった美代容疑者と親交を深め、松本さんの長女(18)の家庭教師も勤めていた。美代容疑者の意向で梅原容疑者のすし店から出前をとることもあったという。
2人の男を使って夫を殺害した格好の美代容疑者だが、夫にどんな不満を抱いていたのか。松本さんをよく知る関係者は「松本さんの女性問題と金銭問題の両面の可能性が高い」と語る。
「十数年前の話ですが、松本さんが教え子と不倫交際したことから夫婦関係が大きくこじれました。冷え切った夫婦関係の中、松本さんは1人で株や不動産投資で儲けた金を一切妻に渡さず、家庭内別居状態だったようです。松本さんは、さらに別の不倫相手を仙台市内のマンションに住まわせていたという噂です」
そんな美代容疑者の不満を受け止めていたのが松山容疑者。「近所では、美代容疑者が松山容疑者のベンツで外出する姿がたびたび目撃されていた」(同)という。
松本さんは今年3月、帰宅途中に頭の骨や前歯を欠損する大けがを負ったが、この際、学校関係者には「コンクリートの階段で転んだ」などとあいまいな説明をしていた。妻が自分を恨んでいることや、松山容疑者との関係を知っていたためとみられるが、「まさか殺されるとまでは思っていなかったはず」と関係者は話している。