「昇進が遅れた」「パワハラされた」――人事院が国家公務員から受けた人事にまつわる苦情や悩み相談が、2009年度に過去最多の延べ1344件(前年度比9%増)に上ったことが明らかになった。人事院は、能力・実績主義が浸透したことも背景の一つにあるとみており、「安定」が売りの公務員の世界も民間企業と同じく厳しさを増している様子がうかがえる。
人事院によると、任用関係の相談は223件で、前年度比30%増だった。「同期が昇進しているのに自分だけ昇進できない」「望まない職場に異動させられた」といった相談が増えたという。
パワーハラスメント関係は118件で同37%増。「辞職を強要されるような発言があった」などの相談が多かった。
このほか「自分にばかり仕事が回される」など勤務時間・休暇関係は163件(同9%減)、「通勤手当が少なすぎる」といった給与関係は108件(同10%増)だった。非常勤職員からの相談が146件(同47%増)と大きく増えたのも特徴で、「契約が打ち切られた」といった任用関係の内容が最も多く、42件もあった。
人事院公平審査局職員相談課は「年功序列が崩れて横並びの昇進がなくなってきているが、上司による成績評価の説明が十分でないことが多い。パワハラ関係は、相談しやすい環境になって表面化するケースが増えている」と分析している。