石井ふく子さん渡鬼新作こそ本物のドラマ

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　ＴＢＳ系人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の石井ふく子プロデューサー（８３）が、９０年の放送開始から２０年、新シリーズ（１０月１４日スタート、木曜午後９時）で１０作目という節目を迎え、同作品への意気込みを語った。「ドラマのＴＢＳ」を復活させたいという。

　石井さんは「ドラマのＴＢＳは、今、どうしたんだと言われます。私は、ＴＢＳのドラマを皆さんにもう１回見ていただくチャンスと思い、この作品をしっかりとやりたい」と語った。

　ドラマと言えばＴＢＳといわれるほど数多くの人気作を生み出した時代があった。最近は視聴率戦争で劣勢が目立つ。石井さんは「今、ＴＢＳは何をテーマにするのか難しいところに来ています。私は日本のドラマを作りたい。さまざまな変化があり、生活が乱れている今、どうしたら暮らしていけるのかというメッセージを、この作品に託したい」と力を込めた。

　視聴率は視聴質とイコールだと説明し、最近のドラマに不安を持つ。「一般的にきちんとしたテーマを出さない。怖いのだと思います。はっきりした作家のメッセージがあって、それを的確に視聴者に伝えるのが私たちの仕事」と述べた。

　同作品では夫婦、嫁としゅうと、親子など普通の家族が抱える問題を時代に沿って描く。新シリーズには「変化する世の中。言いたいことが言えない時代。せめてドラマでは、言えば分かってくれる人が必ずいることを伝えたい」と説明した。今までのシリーズと比べ「最も動きがあり、最も面白い」と自信満々の表情を見せた。【中野由喜】

　［2010年8月13日11時27分　紙面から］