2010年08月05日

◆ イラク戦争の教訓

 イラク戦争はいろいろと教訓を与えてくれる。特に米軍は、戦車で圧倒できるはずだったのに、そうはできなかった。なぜか?

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 イラク戦争は、いろいろと教訓を与えてくれる。朝日新聞が夕刊で、ここのところシリーズで深い事情を探ってくれる。たとえば、次の内容がある。

 「イラク戦争は、国連安保理で武力戦争が容認されなかった。フランス・中国・ソ連が反対したからだ。そこで、米国と英国は、国連安保理の容認を得ずに、戦争に踏み切った。戦争の理由は、イラクが大量破壊兵器を隠匿していること、だった。」(ここまでは知られたとおり。)
 「しかし、イラクが大量破壊兵器を隠匿している、という理由は、真っ赤な嘘だった。正しくは、以下の通り。
  • 米国は、9.11 テロのあとで、アフガニスタンに報復しようとした。
  • アフガニスタンでは勝利の見込みがなく、イラクならば勝利の見込みがあった。
  • そこでブッシュは、イラクを攻撃する名分を探せ、と各部門(CIAなど)に命じた。
  • 各部門(CIAなど)は、鵜の目鷹の目で探したが、大量破壊兵器はないと判明した。
  • 大量破壊兵器がある、という誤情報が、混じり込んだ。
  • その誤情報だけを取り上げ、多くの正常な情報を却下した。
  • こうして嘘の名分で開戦した。
 では、その結果は? ご存じの通り。大量破壊兵器は見つからなかった。

 ──

 以上で話が済んでいれば、「米国は嘘をついて戦争を始めた」という「米国悪玉論」でカタがつく。(このことは当時も言われた。)
 しかし、近年になって明らかになったこともある。イラク駐留をしている現在の米軍は、失敗続きなのだ。見込みによれば、「近代的な兵器でイラク軍を圧倒できる」はずだった。特に「戦車は歩兵よりも圧倒的に優位に立つから、戦車によってイラクを支配できる」はずだった。しかしながら、現実には、そうなっていない。なぜか? 
 そのことは、2010-08-05 の朝日・夕刊で明らかになる。以下の通り。

 米軍の規則は、当初は「民間人を攻撃してはならない」「病院やモスクを攻撃してはならない」という常識的なものだった。
 しかしやがて、その規則は骨抜きになった。規則は「路上にいる者はすべて敵の戦闘員と見なせ」という方針になり、民間人を次々と殺していった。さらには、民家のドアが開いて、民間人が現れたというだけで、その民間人を射殺するようになった。
 なぜか? 普段は自分に食料を売ってくれる男が、突然発砲してきたこともあるという。つまり、敵兵の姿が、民間人であることもあるからだ。つまり「便衣兵」である。

 敵が便衣兵になると、正規軍との区別がつかなくなるから、民間人を虐殺するようになる。これは、日本軍が中国(南京)で遭遇した場面と、同様である。敵国(イラク・中国)は、民間人が殺されるから被害も甚大だが、そのかわり、こちら(米国・日本)の被害も大きくなる。
 
 そして、こういうふうに「誰が敵だかわからない」という状況では、もはや戦車は無力となる。戦車があるからといって、敵の都会をすべて破壊する目的には使えないからだ。(東京大空襲みたいにナパーム弾で丸焼きにするなら、大型爆撃機が有効だが、戦車はその目的には使えない。)
 戦車賛成論者は、「都会のゲリラ戦でも戦車は有効だ」というふうに主張することがあるが、そんな話は無効である、ということが、イラクの現実から明らかになる。米軍がいかに戦車をもっていても、米軍はイラクで勝利することはできないのだ。
  
 つまり、便衣兵のいる場面では、敵を圧倒するには、敵国の国民を皆殺しにするか、侵略を諦めるか、二つに一つでしかない。
 なお、「敵国の国民を皆殺しにする」という方針も、なかなか達成しがたい。たとえば、第二次大戦のとき、米軍は東京大空襲では数十万人を虐殺したが、それでも生き延びた人は多数いた。(終戦の直接的な理由は、「ソ連侵攻」と「米軍は原爆を数十発ももっているだろう」という間違った推測だった。)

 ともあれ、近代の侵略戦争では、「戦車があればそれで済む」というような単純な話ではないのだ。

 ──

 なお、朝日の記事によると、兵士は心理的な後遺症に悩まされているという。帰還した兵士は、街で行き交う人と目があっただけで、相手に殴りかかるようになったという。不眠症になり、大酒を飲み、妄想に苦しむという。……攻撃する側にも、多大な傷を残すわけだ。
 


 [ 付記1 ]
 そこへ、日本の2ちゃんねらーみたいなのが登場して、
 「戦車があれば、圧倒的に有利ですよ」
 とほざきながら、戦車に萌えキャラのシールを貼りつけるのである。   (^^);
 
 [ 付記2 ]
 日本の次期戦闘機は、F-35 にも ユーロファイターにも決まらず、どうやら「空白」になりそうだ。  (^^);
 防空という最大の問題を「空っぽ」状態にしておきながら、戦車の有無なんかで騒いだりするんだから、日本の軍事オタクのレベルがわかる。萌えキャラマニアも、戦車マニアも、どっちもフィギュア趣味なんでしょう。   (^^);
 
 「戦車たん」なんていう萌えキャラが好きなのかも。あるいは「タンクたん」かな?
 


 【 関連サイト 】

 YouTube にある衝撃の動画

 (1) イラクの現況
  → http://www.youtube.com/watch?v=r-NxG8OYkLo

 (2) ソマリアでも米軍が民家を襲撃して大量虐殺
  → http://www.youtube.com/watch?v=g3sXGFvxKS0
 
posted by 管理人 at 19:19 | Comment(0) | 一般 (雑学)
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