南アW杯:見せたサムライ魂 日本勝利に列島興奮

2010年6月14日 21時51分 更新:6月15日 3時13分

日本代表の試合を前に盛り上がるサポーター=さいたま市の埼玉スタジアムで2010年6月14日午後9時41分、三浦博之撮影
日本代表の試合を前に盛り上がるサポーター=さいたま市の埼玉スタジアムで2010年6月14日午後9時41分、三浦博之撮影

 遠く南アフリカの地でサムライブルーが躍動した。サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、日本代表は14日午後4時(日本時間午後11時)からカメルーンと対戦、1-0で2大会ぶりの勝利を飾った。「今日の勝利でより一致団結できる」。前半39分に先制点を奪った本田圭佑選手(24)は振り返った。初戦の勝利で、決勝トーナメント進出にはずみがついた岡田ジャパン。試合会場で、列島各地で「ニッポン」コールがこだました。

 ◇試合会場

 日本代表の初戦会場となったブルームフォンテーンのフリーステート競技場には、「サムライブルー」のユニホーム姿の日本代表サポーターが続々と詰め掛け、スタンドの一角に陣取った。

 「必勝」と書かれた鉢巻きやちょんまげ型のかぶり物で「ニッポン」をアピールするサポーターも。今大会名物となった伝統楽器・ブブゼラの重低音が響く中、必死に応援。

 翻訳の仕事をしているロンドン在住の横尾理一さん(44)は「こんなに見てて楽しい日本代表の試合は久しぶり。日本はやりたいことができているようですね」と興奮気味だった。

 ◇大阪

 「オーッ」--。大阪市浪速区のスポーツバー「スタジアムカフェ」では日本代表が勝利を収めた瞬間、詰めかけた約200人のサポーターが地響きのような歓声を上げ、抱き合って喜びを爆発させた。殊勲の1点を挙げた大阪府出身の本田選手の姿がモニターに映ると「よくやった」とたたえる声が上がった。

 大阪市西淀川区、会社員、斎木正一さん(32)は「本田選手はいつも通り、攻める姿勢を見せてくれた。この1勝で(チームに)自信がついて、一気に盛り上がる」と興奮した様子だった。

 ガンバ大阪の遠藤保仁選手のファンという大阪市天王寺区の看護師、米原佐紀子さん(25)は「最近、日本代表は点が取れていないので心配だったが、とりあえずほっとした。次のオランダ戦も勝ち点を取ってほしい」と期待していた。【服部陽】

 ◇埼玉

 埼玉スタジアム(さいたま市緑区)では日本-カメルーン戦を大型スクリーンで観戦する「パブリックビューイング」が開かれた。

 勝利の瞬間、埼玉県越谷市の会社員、本多裕一さん(24)は両手を突き上げ「日本の選手が気持ちを前面に出していた。応援していたみんなの思いが南アフリカに届いたんじゃないか」と興奮した様子。千葉県鎌ケ谷市の幼稚園教諭、皆川夕紀子さん(23)は「やったー」と、友人とハイタッチ。「キーパーの川島(永嗣)選手がしっかり止めてくれた。本田選手も結果を出してくれた。この1勝は大きい。予選を突破できるんじゃないか。雨の中来て良かった」と満面の笑みを浮かべた。

 韓国出身の東京都新宿区の日本語学校生、シン・ウォンピョさん(26)はファンという中村俊輔選手のユニホーム姿で応援。「日本と韓国が一緒に16強に進んでほしい」と期待した。【大谷津統一】

 ◇名古屋

 名古屋市中区千代田のスポーツバー「スポルティーバアリーナ」はサポーター約200人で満員になった。200インチの大型スクリーンを前に総立ちで声援を送り、勝利の瞬間、大歓声に包まれた。

 前半終了近くの本田選手の先制ゴールに、それまでの緊張感は歓喜の興奮に変わり、サポーター同士が両手でハイタッチを繰り返した。サポーターは店内でたたく太鼓に合わせ、試合終了まで「ニッポン」コールを送り続けた。日本が1点を守り切ると、抱き合って喜んだ。

 名古屋市天白区の会社員、堀内信吾さん(22)は「厳しい戦いになると思っていただけに最高。いい形で初戦を勝てた。何としても予選通過して」。店内で応援を指揮した愛知県一宮市の会社員、山本直樹さん(38)は「みんなの声援が南アフリカに届いた。次のオランダも怖くない」と声を弾ませた。【稲垣衆史】

 ◇石川

 先制点を挙げた本田選手の出身校・星稜高のある金沢市では、青いユニホーム姿のサポーター約100人が、同市片町のパブリックビューイング会場に詰めかけた。本田選手がゴールを決めた瞬間、仲間とハイタッチを繰り返した金沢市四十万町の沢正道さん(29)。妻は看護師で、本田選手が高校時代にけがで通院した病院に勤めていて、サインを贈られた思い出があるという。「さすが『世界の本田』。落ち着いてるなー」と喜んだ。近くに住む星稜高OBの会社役員、諸江洋さん(50)は「後輩の本田選手が決めたのが何よりうれしい」と勝利を喜んだ。【松井豊】

 ◇愛媛

 長友佑都選手の故郷・愛媛県では、中学時代の恩師の井上博さん(40)が今の教え子ら約70人とテレビの前に陣取り、「ユウト! ユウト!」の大合唱。

 99年春、サッカー部顧問だった同県西条市立北中に入学した長友選手は、地元クラブチームの選考に落ちて意欲を失っていた。「大したことない。おれも教員試験に4回落ちとる」と励まし、1日15キロの走り込みを課し、運動量を誇る今の長友選手の基礎を作った。勝利の瞬間、井上さんは「よくやった。次もアグレッシブに走り抜いてほしい」と祝福した。【高谷均】

 ◇和歌山

 和歌山県海南市出身の駒野友一選手を応援しようと和歌山市のホテルに約200人が集結。母友美子さん(54)は「前回負けた分、今回勝って本当によかった。勝ってほしいと祈って見ていました。(駒野選手が中学生の時亡くなった)夫も同じ気持ちでいると思う」と涙を流した。【川平愛】

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