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高速無料化:社会実験1週間後の検証 特急利用、最大14%減 高速バスも22%

 ◇対象区間と並行

 6月に全国37路線50区間でスタートした高速道路の無料化社会実験について、国土交通省は11日、他の公共交通機関や観光、物流への影響を検証したデータを初めて公表した。対象区間と並行する鉄道路線(特急)では、実験開始後1週間での利用者が最大で14%減少。また高速バスでも最大22%減少した。周辺観光施設の平日利用者は1割増えたが、一方で対象区間の渋滞も増加。コスト削減などの好影響があったと答えた物流業者は3割強にとどまった。

 公共交通機関は、6月28日から7月4日までの実験開始後1週間の旅客実績を、国交省が平日と休日に分けて比べた。最も減ったのは北海道のJR函館線、滝川-旭川(休日)など3区間で前年同時期と比べ14%減、京都府の北近畿タンゴ鉄道の福知山-宮津(休日)が同10%減だった。調査した28地点中24地点で実験前より利用者が減少した。

 高速バスも岡山道の岡山総社-賀陽(平日)で22%減など、34地点中19地点で実験前を下回った。

 対象区間に近い全国177カ所の観光施設で利用者数を調べたところ、実験開始直後の平日(6月28日~7月2日)では前年同時期比10%増。休日(7月3~4日)は14%減ったが、3連休の7月17~19日は9%増えた。

 一方、実験前はほとんどなかった渋滞が急増。西九州道(武雄ジャンクション-佐世保中央・佐賀、長崎)などでは、開始から4週間で25日以上渋滞した。

 無料化区間に近い物流施設282カ所への聞き取り調査では、40%が高速道路の利用が増えたと回答。コスト削減効果を感じた業者は36%にとどまり、「良くも悪くもない」との回答が48%に達した。

 公共交通機関の利用者数などについて国交省は、今後も調査を続け、高速無料化の影響を慎重に判断する方針。【寺田剛】

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 ■並行する公共交通機関への主な影響地点

 ▽鉄道(特急)

 函館線   滝川-旭川 (休日・北海道)  14%減

 宗谷線   旭川-名寄 (休日・北海道)  14%減

 日豊線  南延岡-宮崎 (休日・宮崎)   14%減

 日豊線   大分-幸崎 (休日・大分)   13%減

佐世保線 肥前山口-佐世保(休日・佐賀、長崎)11%減

 ▽高速バス

  舞鶴若狭道  舞鶴東-大飯高浜  (休日・京都、福井)22%減

    岡山道 岡山総社-賀陽    (平日・岡山)   22%減

秋田外環状道路  秋田北-昭和男鹿半島(休日・秋田)   19%減

    道央道   深川-旭川鷹栖  (休日・北海道)  18%減

    日高道 苫小牧東-沼ノ端西  (平日・北海道)  18%減

 ※6月28日から7月4日までの1週間と、鉄道は前年同時期、高速バスは実験直前の1週間の利用者数を、平日と休日に分けて比較。

毎日新聞 2010年8月12日 東京朝刊

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