2006年08月10日
東長戸ブルーズ3
彼らと出会ってから2年目の夏、俺たちは受験生で、夏休みも返上して受験対策という有り難くないものに毎日を浪費していた。
一応選抜クラスなので教師たちも大学合格者を一人でも増やそうと必死だ。行くつもりも無い地元の私立大学を四学部全て+そのうちセンター試験で応募可能な二学部、計六学部を全員が受験させられた。一人が全部パスすればのべ六人の合格者としてカウントされる仕組みだ。どうやら高校間、教師間で競い合っているらしい。
全く見上げた俗物根性だ等と言いながら俺が苛立ちを覚えていたのはむしろそれを何の疑問も無く受け入れてしまう生徒及び保護者の方だった。
荒れていく自分の気持ちと裏腹に放課後の生徒会室や田中到、古茂田亮らとの日常は楽しかった。
今になって時々思うのであるが、あんなに手放しで人を信用出来たのはあの頃が最後だった気がする。
その夏期講習中だったと思う、到がいつものように前の席から小さく切った紙片をよこしてきた。またかと思い開いてみるとそれには四コママンガではなく、「松大行くんなら一緒にバンドしようや」と書かれているではないか。
その後詳しく聞いてみたら同じクラスの古茂田亮、その頃到と同じバンドメンバーだった宮脇聡も誘っているという話だった。ギタリストが三人になるがと聞いた所、もちろん俺がベースに転向という事らしい。まぁ俺が歴も浅いし一番ヘタクソなのでもっともな話だと思い承諾した。
そうこうしているうちにあっという間に三月になり、めでたく松山大学全員合格、高校生にして単位不足の危機という爆弾を抱えていた亮も含めて無事新田高校卒業という運びになる。
もう高校側の進学率に関わる思惑などどうでもよくなっていた。
俺はこの時、何か新しい日々が始まる予感がしていた。
一応選抜クラスなので教師たちも大学合格者を一人でも増やそうと必死だ。行くつもりも無い地元の私立大学を四学部全て+そのうちセンター試験で応募可能な二学部、計六学部を全員が受験させられた。一人が全部パスすればのべ六人の合格者としてカウントされる仕組みだ。どうやら高校間、教師間で競い合っているらしい。
全く見上げた俗物根性だ等と言いながら俺が苛立ちを覚えていたのはむしろそれを何の疑問も無く受け入れてしまう生徒及び保護者の方だった。
荒れていく自分の気持ちと裏腹に放課後の生徒会室や田中到、古茂田亮らとの日常は楽しかった。
今になって時々思うのであるが、あんなに手放しで人を信用出来たのはあの頃が最後だった気がする。
その夏期講習中だったと思う、到がいつものように前の席から小さく切った紙片をよこしてきた。またかと思い開いてみるとそれには四コママンガではなく、「松大行くんなら一緒にバンドしようや」と書かれているではないか。
その後詳しく聞いてみたら同じクラスの古茂田亮、その頃到と同じバンドメンバーだった宮脇聡も誘っているという話だった。ギタリストが三人になるがと聞いた所、もちろん俺がベースに転向という事らしい。まぁ俺が歴も浅いし一番ヘタクソなのでもっともな話だと思い承諾した。
そうこうしているうちにあっという間に三月になり、めでたく松山大学全員合格、高校生にして単位不足の危機という爆弾を抱えていた亮も含めて無事新田高校卒業という運びになる。
もう高校側の進学率に関わる思惑などどうでもよくなっていた。
俺はこの時、何か新しい日々が始まる予感がしていた。