ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住22年目のマーケッター。

ブラジルへの留学生が急増

2010-08-10 06:39:37 | 経済
外国からブラジルに来る留学生が急増しているという。
連邦警察の数字によると、2006年の934人から2009年の2278人に倍以上の増加だ。今年はもっと増えているだろう。

Folha(2010. 08. 09)の記事にはFGVの例がでていた。FGVはブラジルでもっとも有名な経営・経済大学で、授業料も高いので慶応や早稲田のビジネススクールだけが独立したものというイメージかもしれない。同校は世界の28のビジネススクールとパートナーシップを結んでいて、それらの学校からマスターコースの学生を受け入れるプログラムをもっているという。そのプログラムでは留学生は最低半期の授業を受けることになる。USP(サンパウロ州立大学)、マッケンジーなども同様のコースがあるという。

これまでの流れでいうブラジルの学生は外国で勉強することが夢で、調べてみると2009年に米国だけで8767人が留学している。僕の知り合いでも、子供を外国に留学させている人が少なからずいる。それらの留学生の少なくない数が、現地に残り就職してきた。ウォール・ストリートの金融マンにはブラジル人エリートも多い。

その逆の流れがおきてきているということ。記事によるとブラジルを「チャンスの国」と見る学生もあり、仕事探しも眼中にあるようだ。たしかにポルトガル語をマスターして(修士課程をするんだから覚えるだろう)、専門ができれば、レアル高ということもあり、ブラジルのサラリーは魅力的なものになる可能性はある。

FGVのプログラムの歓迎合宿はパラチだったようで、ヨットで楽しそうに遊んでいる写真がでている。やっぱりエリートはエリートらしい。
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もう2010年の万博の話をしている

2010-08-09 03:16:32 | オリンピック2016
もう2010年(オリンピックの4年後)の万博の話をしている。ワールドカップ、オリンピックで調子に乗っているブラジルでは、リオデジャネイロとサンパウロ市が立候補しているそうだ。サンパウロは2010年万博にも立候補しているが、北京に負けている。選考結果は2011年から2014年までの間にでるという。

産業の方だからサンパウロがいいかも。

万博までとってしまったら、本当に「ブラジルの奇跡」だね。でも中国はオリンピックと万博の両方をとったので、ひょっとしたら?
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宣伝を禁止されている二日酔い対策飲料

2010-08-09 02:57:30 | マーケティング
二日酔いに効くという「Secruity」という飲料の記事がでていた(Foolha de S.Paulo 2010. 08. 08)。フランス製で、お茶その他の成分を調合したものということ。2006年にブラジルの実業家が偶然、フランスの雑誌で目にして、ブラジルでの代理権をとって、まずリオデジャネイロのコンビニ(ちょっと日本のコンビとは内容が違うがこれはいつか説明)とオンライン販売でスタートさせ、7月の販売量は2万5000本とのこと。30Mlで85円くらい。

販売本数は2011年には百万本にいくと、オーナーは強気なことをいっており、また輸入からサンパウロ州に工場を建設してブラジル生産を行う、輸入するのは成分のうち5%だけといっている。それによって利益率は30%に達するという。

ブラジルでは輸入飲料、食品は種類によっては農務省の許可がいる。この許可はでているが、ANVISA(全国衛生局)は「二日酔いに効く」という宣伝を禁止されている。

この記事、はっきりとわからないが、PR会社の仕込みによるような印象だ。専門家に分析させ、同じ記事内で効果がないというコメントはさせてバランスはとっているが。公開企業ではないので利益率などの数字の発表は必要がなく、取材をされたとしたら何か不自然。

衛生局が最大のセールスポイント、商品特徴である「二日酔いに効く」ということを広告で言わせないなら、企業は別の方法を考えるだろう。とにかく商品を知らせることで、PR会社によるパブリシティ、プレスリリースが有効になってくる。また口コミによる宣伝になる。ソーシャルネット対策もきちんとやってうるようで、今日時点でGoole Brasilで「Security」「Ressaca」(二日酔い)の二つのキーワードで検索すると、9万5000ヒットした。ざっと見た感じブログが多い。

記事の中で面白いと思ったのは、代理権獲得の交渉をしたときフランスのメーカーはアジアとヨーロッパ市場にしか興味がなかったが、ブラジル人の年間のビール消費量を示したら話しにのってきたということ。

彼らは2007年の数字を見せたようだが、因みに2009年のブラジルのビールの生産量は109億リットル(前年比5.2%増)で、ドイツを抜いて中国、米国、ロシアに続いて4番目(Veja)。スーパーで買えば473MlでR$ 1.69(約85円)。とにかく安い! 20年前にブラジルに来たころは、場末のバーでビールをチェイサーにしてピンガを飲んでいる光景を見て、「ビールが高いから節約するため」という説明を受けて納得したけど、今はそんな光景もあまり見なくなった。

そしてワールドカップ期間はよく売れるので、各社期間限定のパッケージも登場させる(ビールを飲まない試合観戦なんてあり得る?)。今年ははやくに退場してしまったので、まだその期間限定パッケージがスーパーの棚に大量に売れ残っているよ。

今回はとくに「二日酔いに効く」という商品に興味があったのではなく、PRの手法に興味があったから取り上げた。二日酔いを防ぐには飲まないことしかありません。
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ツーリズモ・ルアルの裏で

2010-08-07 09:16:59 | アグロビジネス
ツーリズモ・ルアルというのがはやっている。翻訳すると農村ツアーだ。ようするに都会の喧騒を逃れて、週末を農家がやっている民宿や、もうちょっと規模が大きいとホテル・ファゼンダ(農場ホテル)で過ごして野菜の収穫を手伝ったり、コーヒーを見たり乾燥・焙煎したりという農村暮らしを体験するというのものだ。たしかにサンパウロのスモッグ、渋滞、治安の悪さ、対人関係を考えると、そういう息抜きも必要だ。また、この街で子供をもっているとよくわかるが、外で子供を自由に遊ばせることがどれだけ大変かこと、またコストのかかることか。

でも反対にそういう都市疲弊家族を受け入れる方の事情はどうなのか。牧場はますます大規模化して100頭、200頭の規模ではとても食えなく、1000頭でも土地という資産はもっていても、手取りはサラリーマンの方がいいし、リスクがない。

コーヒーでも20ヘクタールぐらいでは、とてもじゃないがリスクに見合う手取りはない。野菜はもっと悲惨、農業の神様といわれた日系農家が90年の入管法改正と同時に日本へすっ飛んで行ったように、家族農業に毛の生えたぐらいの規模では成り立たない。農業技術も実はそんなに大したものではなく、使っていた労働者は簡単に覚えて、しかも彼らは低収入に耐えることができるので、野菜の安値にも強い。日系人はNHKを見るための衛星放送の払いもあるし、子供はそこそこの学校に入れなければいけない。だから出稼ぎがヒットしたのである。

ツーリズモ・ルアルの背景にはこういう事情があると思う。農業生産で金が稼げないので、何とか自分たちの経営資源で収入を増やすことができないかと考えた上での事業なのである。宿泊客の受け入れの収入が全体の半分以上になっているところが多いという。これは最初に書いたとおりマーケティング的に正しい。都市の子持ちの家族のニーズと農家の思惑が一致したのである。自分たちの経営資源に新しい意味(コンセプト)を与えて新しい商品として、必要としている顧客に提供するというのは非常に正しい。

しかし、僕はそこにブラジルの家族農業の疲弊を見る。フェイラ(露天市)からスーパーマーケットへ消費者の購買ポイントが移った時点から、ブラジルの農業は大型化が進み、家族農業は成り立たなくなっているにではないか。日系農家でいえば、一部、高級果実などはまだ生き残りの道があるかもしれないが、流通が力をもってきている現在、生産者の売り手市場の消滅というのは、非情な現実として迫ってきているのではないだろうか。

ブラジルの貧困問題の解決策の一つとして、家族農業の繁栄というのを高く評価していた僕としては複雑な思いをしている。規模に対抗するために組合があったのだが、組合は組合であるために競争原理からはずれて、少なくとも南米一といわれたものと、二番手がほぼ同時に潰れてしまった。

やはり農業は農業法人に任せて、これまでのプレイヤーは、今ブラジルが確実に歩んでいるサービス業に吸収されるべきなのだろうか。
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ソーシャルネットワークとやる気のある若者たち

2010-08-06 09:27:59 | インターネット
今日、ブラジルのアイシン精機の新工場建設のプレスリリースが日経のサイトにでたのでGoogleブラジルで調べたら、なんとFacebookにアカウントをもっている。アイシンといえば完全なB2B企業、それもブラジルでのオペレーションは完全にTDB(Toyota do Brasil)向けだ。それでも企業のブランドイメージが必要だと認識しているのだろう。

ブラジルの企業はソーシャルネットワーク(SNS)の活用に本気になっている。今日の新聞にポンデアスーカがSNS対策部門を作って投資するという記事がでていた。ブラジル人のインターネットユーザーは接続時間の70%はSNSに使っているというから、企業イメージをかけたアクションだということができる。ただ雇用したスタッフのサラリーが高くて12万5000円ぐらいだから、少しがっかりしたが、総投資金額は5億円ぐらいという。専門のエージェントは引っ張りだこだそうだ。

日本でもただ単にテレビコマーシャルのストーリーボードだけのキャンペーン企画では通用しなくて、SNS対策を含めた企画にしなくてはいけないそうだ。

先月パートナーの広告会社に頼まれて、ある会社でSNSを使ったコミュニケーション・プランのプレゼンテーションをした。実施・企画部隊は20代前半の、僕から見たらガキたちだ。しかし、打ち合わせをしているときに感じたのだが、彼らは物事、ビジネスがよくわかっている。仕事は速いし、聞いたことにはきちんと答えてくる。お客に合わせた対応を優先する。これが今、ブラジルの最前線で勝負している連中のリズムなのだと感心した。

SNSを扱って、企業のイメージをあげるというのは、どう考えてもプロの仕事だ。僕の付き合った連中を含めて今のブラジルの若者は、やっぱり勝負している。しかもインターナショナルなレベルで。
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