日本相撲協会が11日、協会改革を進める「ガバナンスの整備に関する独立委員会」望月浩一郎氏(弁護士)の解任をめぐる騒動について、所管官庁の文科省に説明した。一連の騒動を協会側は関係各所の同意を得ずに行った「連絡の行き違い、手違いだった」とし、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)の意図があったとも説明した。結局、協会は望月氏に留任を要請したが、文科省はずさんな連絡態勢で同氏を解雇しようとしたことに不快感を示した。
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相撲協会は10日のわずか1日で望月氏の解任と続投要請の間で揺れた。そして、あらためて11日に望月氏に対して独立委のアドバイザーなどすべての担当業務について続投を要請した。望月氏は態度を保留しており、理事会や独立委、調査委が行われる12日に結論が出ると見られる。
この事態を文科省は見逃さなかった。独立委の奥島孝康座長(日本高野連会長)が「引き下げられなかったら、ある意味、戦争だよ」と猛反発したことも受けて、川端達夫文科相が協会側から事情を聴くように指示を出した。これを受け、協会から出羽海、陸奥の両理事と事務方の責任者が文科省を訪れて説明することになった。
応対した文科省の担当者によると、以前、望月氏が本人のブログで「しかるべき時期に辞める」と発言していたことを受け、理事長が「辞めていただこう」と指示したことが発端になったと説明されたという。奥島座長や、特別調査委員会(調査委)の伊藤滋座長から了承を得ないまま、解任を伝えるメールを送ってしまったという。
陸奥理事(元大関霧島)は「行き違いがあった。先走り」と反省したが、文科省は不快感を募らせた。担当者は「こんな問題が起こること自体がガバナンス(統治)の問題」とあきれ、今後、協会改革の人事を行う際には事前に同省に相談するように求めた。
協会内には望月氏ら外部の人材に対しての拒否反応が根強くある。出羽海理事(元関脇鷲羽山)は「改革を後ずさりする考えはない」と明言したが、一介の顧問弁護士の解任騒動で、協会VS外部の対立構造が浮き彫りになってしまった。