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「安心の学びの場を」

2010年08月11日

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在特会メンバーの逮捕を受け、記者会見する「京都第一初級学校嫌がらせ事件弁護団」の弁護士たち=中京区

            在特会事件 朝鮮学校関係者

 京都朝鮮第一初級学校(南区)に対し、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)メンバーらが行った街宣活動は10日、幹部ら4人が威力業務妨害容疑などで府警に逮捕される事件に発展した。学校関係者は「子どもたちが安心して学べる環境を取り戻したい」と胸をなで下ろした。

 「表現の自由を隠れみのにした、許されない違法行為であることが示された」。逮捕後、弁護士98人でつくる「京都第一初級学校嫌がらせ事件弁護団」のメンバーら5人が記者会見し、そう語った。

 在特会は、街宣活動をインターネットの動画サイトで公開し、会員を増やしてきた。弁護団メンバーの一人は「市民が『ネットを見て気軽に参加しました』では済まされない犯罪行為。逮捕が警鐘を鳴らすことにもつながる」と期待を寄せた。

 この日、夏休み中の初級学校では、クラブ活動に取り組む児童らが朝から姿を見せ、大きな混乱はなかった。金志成(キム・チソン)校長は「グループが子どもたちを混乱と不安に陥れたことは決して許すことができない。常軌を逸した異常な言動が、法の裁きを受けることは当然」とコメントした。

 一方、自らも東京の自宅が家宅捜索を受けた在特会の桜井誠会長は動画サイトで主張を展開。「在特会は常に筋を通してきた。活動に犯罪行為があったとみなされるのであれば、堂々と法廷の場で戦えばよろしい」などと発言し、会員らには「暴発」をしないよう呼びかけた。

 逮捕された在特会メンバーの「日本からたたき出せ」といった言動について、太田修・同志社大大学院教授(朝鮮現代史)は「単なる誹謗(ひぼう)中傷。在日の児童らへの人権侵害以外の何物でもない。彼らの挑発は冷静に受け止めなければならない」とみる。

 アジア諸国への植民地支配をめぐり、日本政府が反省とおわびを示した1995年の「村山談話」と、それを踏まえて韓国へのおわびの言葉を述べた10日の菅直人首相の談話は、多くの国民の共通認識に支えられていると、太田教授は考える。一方で、これを極端に否定する意見が若い世代にみられることを懸念し、「歴史教育を再検討する必要がある。アジア諸国に対する、私たち市民の良識が問われている」と指摘する。

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