「新余部鉄橋」開通祝う

余部鉄橋の架け替え工事の完了を祝ってくす玉を割り、列車に手を振る関係者

　ＪＲ山陰線鎧―餘部間の日本海に面した谷に架かる余部鉄橋（兵庫県香美町）の架け替え工事が完了し、１２日午前６時半すぎ、始発列車が新しいコンクリート製の橋を渡った。地元住民約１２０人や全国からきた鉄道ファンが乗り込み、記念撮影をしたり地酒で乾杯したりして開通を祝った。ＪＲ西日本は始発の乗客に乗車の「認定書」を配布した。

　余部地区連合自治会長山本美津男さん（６６）は「海も家もよく見える立派な橋だ」と話した。

　記念式典では兵庫、鳥取両県の関係者らがくす玉を割り祝福。１９８６年１２月、回送列車が風にあおられ転落した事故で妻を亡くした岡本倫明さん（７６）が「愛着のある鉄橋がなくなるのは寂しいが、安全な橋にしてほしいという願いがかなった」とあいさつした。

　古い鉄橋は１２年に完成。長さ約３１０メートル、高さは約４１メートルで、壮大な景観が人気を集めた。橋の下にあった工場の従業員ら６人が死亡した８６年の事故後は風速による運行規制を厳しくし、ダイヤの乱れが増えた。

　新しい橋は同じ長さと高さで隣に造られたが、１１本あった橋脚は４本になった。防風壁が設置され、ＪＲ西によると運休は約９割減る見込み。役目を終えた鉄橋は解体工事が進むが、一部は展望台に生まれ変わる計画だ。

（2010年8月12日15時32分  スポーツ報知）

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