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御巣鷹25年の慰霊、前原国交相が「昇魂之碑」に献花

御巣鷹の尾根にある「昇魂之碑」に献花し、手を合わせる前原国交相

 乗客乗員520人が死亡した1985年の日航ジャンボ機墜落事故は12日、発生から25年を迎えた。台風4号の接近で時折雨や風が強まる中、墜落現場の御巣鷹の尾根(群馬県上野村)に遺族が慰霊登山。夜にはふもとの「慰霊の園」で、前原誠司国土交通相や日航の稲盛和夫会長ら約270人が参列して、地元財団主催の追悼慰霊式が営まれた。犠牲者に祈りをささげ、安全を誓う1日となった。

 単独機事故による死者数は、四半世紀たった今も世界の航空史上最悪。今年1月に経営破綻し、会社再建に向け大規模な合理化を進める日航にとっては、安全運航の堅持と事故の教訓を継承し続ける社内態勢の構築が、あらためて課題となる。

 遺族たちは12日早朝、尾根に向かう登山口から花や供え物を手に次々と出発。当時24歳の長女を亡くした大阪府貝塚市の河瀬周治郎さん(76)は「認知症でここに来られなくなった妻の話を(亡き娘に)したい」と涙を浮かべた。

 午後には前原国交相が担当大臣としては事故後初めて登り、墜落地点に立つ「昇魂之碑」に献花。「交通行政の根幹は安全にある。520人の死を無駄にしないようにする」と強調した。

 1月の破綻後に就任した日航の大西賢社長も、神妙な表情で尾根に立ち「安全を守っていくことを碑に誓いました」と涙ぐみながら語った。

 日航によると、12日に慰霊登山したのは87家族308人。遺族の高齢化は引き続き進み、体力的に登山が無理となった人は多い。「静かに故人をしのびたい」と命日をあえて避け、春や秋に登る人もいる。

 日航ジャンボ機墜落以降、日本の大手航空会社は乗客が死亡する新たな事故を起こしていない。

(2010年8月12日19時35分  スポーツ報知)

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