謹慎力士９人、みそぎの自主清掃

秋田巡業のけいこ前、志願して清掃作業を行った雅山（中央）

　大相撲の夏巡業が１０日、秋田市で行われ、野球賭博に関与して名古屋場所を謹慎した関取９人が反省と感謝の清掃を行った。朝げいこ前、幕下以下の若い力士に交じり、元大関・雅山（３３）＝武蔵川＝らが志願して体育館周辺のゴミ拾いなどに汗を流した。迷惑をかけたことへの償いと、それでも応援してくれるファンへの恩返しの気持ちによる自主的な奉仕活動。大相撲の再生へ明るい光が差し込んだ。

　雅山がたばこの吸い殻を拾う。豊ノ島も紙くずをゴミ袋に入れる。午前８時３０分。朝げいこ前の秋田県立体育館の外に、まわし姿の関取衆が姿を見せた。両手にはビニールのゴミ袋とゴミを拾うはさみを持っていた。野球賭博への関与で名古屋場所を謹慎した関取９人。清掃の奉仕活動で改心への誓いを態度で見せた。

　秋田巡業での清掃活動は、協会の巡業部が勧進元に申し入れた。一連の賭博問題で多大な迷惑をかけたせめてもの償いだった。放駒巡業部長（元大関・魁傑）によると当初は幕下以下の若い力士が行う予定だった。しかし、奉仕活動を聞いた雅山ら謹慎関取が「やらせてほしい」と申し入れてきたという。結果、けがで夏巡業を休場した十両の清瀬海を除く９人の関取が約３０分間、体育館の周辺を清掃した。

　雅山は言った。「今回の巡業でファンの方から何を言われても仕方がないと覚悟していました。だけど、実際に各地を訪れると、ほとんど激励でいつも以上に拍手をいただいてます。すごくありがたくて少しでも恩返しができればと思って清掃をしました」。今後も積極的に施設慰問などの奉仕活動に取り組んでいきたいという。過去をいつまでも引きずっても前には進めない。今、角界に期待されているのはどう立ち直っていくかだ。関取自身が自主的に行った清掃活動に、角界再生へ確かな光が見えた。