武蔵川理事長が辞任、後任に放駒理事

日本相撲協会の新理事長に決まり、就任のあいさつをする放駒理事

　日本相撲協会は１２日夜の臨時理事会で、武蔵川理事長（６２）＝元横綱・三重ノ海＝の辞任を承認し、第１１代となる後任に巡業部長を務める放駒理事（６２）＝元大関・魁傑身＝を選んだ。武蔵川理事長は健康面の不安と野球賭博問題など一連の不祥事の責任を取って、午前の臨時理事会で辞意を表明した。

　臨時理事会は暴力団排除対策の原案を大筋で了承した。次回の理事会で最終決定する。

　武蔵川理事長は胃がんの手術を受けた影響で体調が思わしくないこともあり、８月中に辞任するとみられていた。関係者によると、後任を選ぶ理事の互選で放駒理事に８票、元理事長の北の湖理事（元横綱）に４票が入った。これまでに外部からの起用を求める声もあったが、力士出身で決着した。

　放駒新理事長は「大変な時期に拝命し、大変戸惑っている。しっかり相撲協会の道筋を付けていきたい。たくさんの問題を抱えているが、一つ一つ解決していきたい」と抱負を語った。

　監督官庁の文部科学省幹部は「誰がトップであろうと改革を着実に実行してほしい」と話した。

　協会の全般的な改革を目指す第三者機関「ガバナンス（統治）の整備に関する独立委員会」の第４回会議は夜の臨時理事会前に開かれ、暴力団とのつながりを根絶するための暴力団排除対策の原案を決めた。内容は協会内部への対策委員会の設置や速やかな「暴力団排除宣言」の実施など。

　臨時理事会は、地方場所宿舎に関連して暴力団関係者とのかかわりが取りざたされた境川部屋について問題なしとしたが、松ケ根部屋については継続調査とした。週刊新潮が報じた佐ノ山親方（元大関・千代大海）の賭博行為疑惑についても引き続き調べる。

　松ケ根部屋の十両・松谷と三段目の若力堂が野球賭博に関与していたことも判明。引き続き調査し、松ケ根部屋、佐ノ山親方の件とともに、９月６日の特別調査委員会で結論を出す見込み。

　午前の臨時理事会では、特別調査委委員と独立委のアドバイザーを務める望月浩一郎弁護士との契約継続を確認した。相撲協会が１０日に同弁護士に契約解除を伝え、同日中に撤回するなどの混乱があった。同弁護士への一部親方衆による反発が騒動の背景にあるとみられる。

　放駒理事長「大変な時期に理事長職を拝命し、戸惑っている。難局だが、しっかり日本相撲協会の道筋を付けていきたい。たくさんの問題を抱えているが、一つ一つきちんと解決していきたい」

　北の湖理事「理事全員による投票で決まった。こういう状況ではあるが、放駒親方が引き受けてくれた。協会全体でいろいろな問題に取り組んでいけばいい」

　◆放駒　輝門（はなれごま・てるゆき＝本名西森輝門、元大関・魁傑）日大を１年で中退して角界入りするまでは柔道部。６６年秋場所初土俵。７５年初場所後に大関昇進。優勝２回。７９年初場所で引退し、年寄「放駒」を襲名。８１年に放駒部屋を興し、横綱・大乃国らを育てた。０６年２月から審判部長、１０年２月から巡業部長。山口県出身。６２歳。