沖縄国際大学 平成16年度 点検・評価報告書

本   章


第13章 財  政


1 教育研究と財政 3 予算配分と執行 5 財政公開
2 外部資金等 4 財務監査 6 私立大学財政の財務比率




1 教育研究と財政
【現 状】
  私立大学は教育研究条件の充実と財政との持続的調和が肝要である。私立大学は、公共性、自主性、永続性の性格をより強く有しているからである。教育研究を充実したものにするためには財政基盤が充実、安定していなければならない。本学の1998(平成10)年度から2002(平成14)年度までの5年間の財政の基盤は安定している。以下、1998(平成10)年度を@、1999(平成11)年度をA、2000(平成12)年度をB、2001(平成13)年度をC、2002(平成14)年度をDと略記する。
 帰属収入について、学生納付金の増加が続いている。5年間の帰属収入、学生納付金の推移は次のとおりである。
年 度
帰属収入 
学生納付金
収容定員
@
1998年度
45億23百万円
34億96百万円
3,786人  
A
1999年度
51億71百万円
38億16百万円
4,153人
B
2000年度
50億07百万円 
39億77百万円
4,190人
C
2001年度
49億97百万円
40億52百万円
4,274人
D
2002年度
54億68百万円
41億60百万円
4,408人

  1998年度と2002年度と比較すると、帰属収入が9億4千5百万円増加し、でそのうち学生納付金が6億6千4百万円に増加している。その増加の要因としては、初年度納付金は第一部93万円、第二部73万円、授業料第一部61万円、第二部53万円と一定し、授業料等の値上げはないが、収容定員が学部改革によって614人増加しているからである。すなわち2001年度に総合文化学部人間福祉学科(入学定員130人)、2002年度に、法学部地域行政学科(入学定員100人)の新設による収容定員増である。
 学生生徒等納付金の帰属収入に占める割合である学生生徒等納付金比率は、@77.28%、A73.79%、B79.43%、C81.09%、D76.07%となっている。
  補助金収入について、私立学校法振興助成法に基づく経常費補助金収入と、本学が普天間基地の周辺にあるところから防衛施設庁の教育施設等騒音防止対策事業補助金収入がある。補助金収入について、1998年度以降、@5億2千7百万円、A5億7千6百万円、B4億6千2百万円、C5億6千4百万円と推移しているが、D2002年度は9億3千6百万円と急増している。この急増は補助金比率にも表れ、1998年度以降11%台であるが、2002年度は17.23%となっている。その理由は、講堂兼体育館の改築に伴う、騒音防止対策事業補助金によるもので、2002年竣工の新体育館に対して2002年度に4億7千9百万円の補助金が計上されている。年々、経常費補助金は減少していることが確認できる。
 寄付金収入について、1998年度、5千7百万円、1999年度、4億8百万円、2000年度、2億8千3百万円と推移し、2001年度には7千万円、2002年度に6千9百万円と千万円台になっている。寄付金比率でみると、1998年度から、@1.27%、A7.90%、B5.67%、C1.42%、D1.26%と推移し、1%台が通常であるが、1999年度、2000年度の寄付金の増額は、セミナーハウス建設に伴う後援会、校友会からの寄付金によるものである。
 基本金組入額について、1998年度以降、@10億2百万円、A7億1千1百万円、B8億7千5百万円、C7億1千3百万円、D8億1千5百万円と推移し、基本金組入比率について、1998年度以降、@22.15%、A13.75%、B17.48%、C14.28%、D14.92%と推移している。1998年度の突出は、図書館の改築(総工費21億5千7百万円)によるものである。
 消費支出の面において、人件費比率は、1998年度以降、@58.32%、A49.87%、B48.31%、C49.09%、そして、2002年度には44.19%となっている。帰属収入が、1998年度には、45億2千3百万円であったが、2002年度には54億6千8百万円と9億4千5百万円と増額しているのに対して、人件費は、1998年度が26億3千8百万円で、2002年度は24億1千6百万円と2億2千2百万円と減額しているからである。帰属収入の増額は収容定員増による学生納付金増と講堂兼体育館改築の防音工事補助金によるものである。
 帰属収入に対する教育研究経費の比率は、1998年度以降、@26.84%、A23.42%、B25.60%、C25.12%、D23.92%と推移しており、教育研究費の充実がみられる。
 総資産額に対する前受金を除く総負債額の割合である負債率については、@1998年度29.34%、A1999年度26.64%、B2000年度23.23%、C2001年度21.66%、D2002年度18.45%、となっている。文部科学省の認可申請条件としての負債率は25%以下であるが、その場合の負債率は、資産の評価において、路線価格評価が認められているため、その路線評価で再評価すると、A1999年度の負債率は16.4%となることから、認可申請の条件としての負債率は問題ではないことになる。
 教育研究環境の施設整備において、本学は1972(昭和47)年2月25日の創立であるため、1990年代から校舎等の建替えの時期に入ることになる。1992年の新5号館・研究室教室棟(総工費24億9千万円)、1998(平成10)年の12号館・新図書館(総工費21億5千7百万円)、2002(平成14)年、新6号館・講堂兼体育館(11億6千7百万円)が建設された。
 また、図書館、体育館等の改築と並行して、大学院を開学し、1997年、地域文化研究科南島文化専攻、1998年、地域産業研究科地域産業専攻、1999年、地域文化研究科英米言語文化専攻を開設し、2002年には法学研究科が設置認可された。大学院研究科の開設に伴う教育研究費、教育研究整備費、人件費等が増額する。
 大学改革・教育研究充実のために、教育研究経費、教育研究施設整備費の増加を必要とし、その財政基盤の充実が求められたが、その財政基盤の充実は、授業料等の値上げと大学改革による収容定員増で可能となった。
 なお、本学の財政状況の評価に関しては、後述の財務比率の項でみるように、消費収支比率では、Bランク(やや良い)に評価される。

【点検・評価】
 教育研究目的・目標を具体的に実現する上で必要な財政基盤(もしくは配分予算)の充実度について点検・評価する。教育研究の施設整備については、基本施設が建替えの時期となり、新5号館・研究棟等(1992年)、新図書館(1998年)を改築する一方、学部改革、大学院開学等の大学改革のための教育研究費比率の25%以上と支出が増加した。授業料の値上げと収容定員増による学生等納付金の増額によって、その支出増を吸収し、財政基盤は安定した。つまり本学の財政基盤の安定化政策は授業料値上げと収容定員増である。まず、低額であった授業料等の値上げについて、1991年度の初年度納付金は63万円、1995年度、81万円、そして1999年度には現在の93万円と約30%の値上げである。収容定員増については、1992年の大学設置基準の大綱化を契機に、1995(平成7)年度に教養部を廃止し、同年度に短大部廃止に伴う1,484人の学部収容定員増が認可された。その結果、1991年度、22億3千4百万円であった学生等納付金が、1992年度、23億6千万円、1995年度には、27億6千万円、短大部廃止に伴う学部収容定員増が完成する1999年度には、38億1千6百万円に、2002年度には41億5千万円となっている。本学の財政基盤の安定化は大学改革によるものであるが、その安定度は、2002年度の人件費比率44.19%、教育研究経費比率23.91%、消費支出比率73.34%(消費収支比率は、財務比率の項でみるとおり、Bランク(やや良い)の財政評価となっている)で確認できる。
 国庫補助金についてであるが、防音事業補助金については積極的に申請して評価できる。経常費補助金については一般補助、特別補助が中心で、その分野ではある程度評価できる。高度化推進特別補助については、2002年度、517万8千円であったが、もっと積極的に活用すべきであろう。
 中・長期的な財政計画と総合将来計画(もしくは中・長期の教育研究計画)との関連性、適切性については、総合将来計画が策定されていないため、全体的、総合的な観点から中・長期の財政計画を策定できず、関連させることができていない。

【改善・改革方策】
 本学の財政状況は学生等納付金に依存している。2002年度の学生等納付金比率は76.07%である。それに対して、補助金比率は、11%台と低率で、さらに寄付金比率は、1.26%と極めて低率である。補助金増額のために、補助金担当の職員を配置し、教育研究の高度化のための制度化を図る。また本学の卒業生が3万人を超える現在、校友と大学との関係を深めて、寄付金の増額を図り、財政構造のさらなる安定化を図る。ホームカミング等で校友と大学との交流を深め校友の寄付金への動機づけを図るようにする。


2 外部資金等
文部科学省科学研究費、奨学寄付金、受託研究費
【現 状】
 文部科学省科学研究費は、1998年度・1件、1999年度・0件、2000年度・5件、2001年度・6件、2002年度・6件で、総計18件、総額4千190万円である。
 民間からの研究助成財団等からの研究助成金は2000年度、80万円、2001年度、281万9千円、2002年度、200万円となっている。
 寄付金収入は、1998年度・4千456万円、1999年度・1億5千160万円、2000年度・2億6千772万円、2001年度・6千574万円、2002年度・6千910万円で、5年度分の総計は5億9千872万円である。現在、本学30周年記念奨学金造成基金の募金を行っている。

【点検・評価】
 文部科学省科学研究費について、採択件数、補助金額ともに少なく、研究の活性化が求められる。寄付金については、年度によって増減の幅が大きいが、それは、後援会、校友会のセミナーハウス等の設備に寄付であり、また寄付金の大半は、後援会の寄付金であって、それは、入学時の後援会費からの寄付金であって、実質的には寄付金収入が多いとはいえない。受託研究費、共同研究費などの外部資金の収入は少額である。

【改善・改革方策】
 今後、補助金が傾斜配分になっていくと思われるので、高度化推進特別補助に力をいれるべきである。特に「特色ある大学教育支援プログラム申請準備委員会」を恒常的な委員会として、その体制を強化する。文部科学省科学研究費については、本学独自の特別研究費とセットにして、申請件数の増加を図っているが、さらに、教員への申請を動機づける必要がある。寄付金については、校友会との交流を深めていく制度をつくる必要がある。


3 予算配分と執行
【現 状】
 まず予算配分の現状からみる。予算要求から予算案の決定までのプロセスは以下のとおりである。予算案の策定は、理事長の基本方針をもとにした主要事業を基本に、各部局から積算資料の提出と査定が重要となっている。
  1) 11月中旬:編成方針案事前配布
  2) 11月中旬:部局館長会:方針案調整
  3) 11月中旬:予算委員会
  4) 11月中旬:予算積算資料提出依頼
  5) 11月下旬:理事会:方針案上程
  6) 12月中旬:積算資料会計課締切
  7) 12月下旬:積算資料会計課集計完了
  8) 翌1月下旬:各課調整完了
  9) 2月中旬:予算書草案理事長調整
 10) 2月下旬:予算原案作成
 11) 3月上旬:部局館長
 12) 3月上旬:予算委員会
 13) 3月中旬:大学協議会
 14) 3月中旬:評議員会
 15) 3月下旬:理事会
 16) 3月末:示達
 17) 6月下旬:文部科学省及び振興財団へ送達
予算配分に当たっては、前年度予算及び当年度財政計画を参照し、大学改革等主要事業に重点配分している。
 つぎに予算執行権限についてみることにする。物件(固定資産、物品)の購入について、30万円以内は課長、40万円以内は次長、60万円以内は事務局長、100万円以内は常務理事、100万円超過の場合は理事長決済となっている。物件の調達については調達規程が設けられ、その契約は2名以上の入札参加者による入札を原則とする。例外的に、随意契約もできるが、次のように限定されている。@契約の性質、又は目的が入札を許さないとき、A緊急の必要により入札に付する暇がないとき、B秘密を必要とするとき、C予定価格が50万円をこえない工事もしくは製造の請負、または物件を購入するとき、D土地、建物を購入し、または借り入れるとき、Eその他入札に付することを適当としないとき、である。実務上、50万円以上の場合は入札に付されている。
 
【点検・評価】
 予算配分のプロセスは、理事長の基本方針と主要事業の提示からはじまり、各部局の予算要求、担当部局との調整、事務局長、常務理事、理事長の調整を経て、部局館長会、予算委員会、教学予算の大学協議会審議、評議会、理事会の審議決定となっており、予算配分のプロセスは明確性、透明性及び適切性において妥当なものといえる。
 予算執行のプロセスについても、予算執行権限が明定され、調達も50万円以上はほとんど入札によっていることから、明確、透明、適切であると判断される。

【改善・改革方策】
 学内IT化のように多額の資金と各部局横断的なものは、中長期の計画と各部局の調整・総合する専門機関を理事長の直轄機関とし、その下で、予算配分するようにして、IT化に機能的効果的に対応する。
 出版・印刷とIT化の予算執行については、より機能的効果的な制度設計が必要となる。出版・印刷の予算執行は、入札によっているが、県内の業者が特定されているため、高値入札の可能性も否定できず、予定価格を厳密に設定する努力をしているが、沖縄国際大学出版会・局の創設の検討が必要である。IT化の執行については、学内に特化し、学内のレベルに応じたシステムの構築のためには、入札制度の改善が必要となっている。


4 財務監査
【現 状】
 本学の財務監査については、外部監査と内部監査がある。外部監査は、公認会計士2名による監査で、私立学校振興助成法第14条第3項によるものである。4月から5月にかけて監査が実施されている。内部監査は監事によってなされているが、その根拠は、私立学校法第37条第4項と本学寄付行為第20条による。両監査の範囲は、計算書類(資金収支計算書、消費収支計算書及び貸借対照表)及び関連帳簿・書類、評議員会・理事会議事録である。さらに、本学では、決算は、毎会計年度終了後2か月以内に作成し、監事の意見を求め(寄付行為第35条1項)、その決算は、毎会計年度終了後2か月以内に理事長において監事の意見を付して評議員会に報告し、意見を求めることになっている(同上2項)。
 決算の財務監査は専門的には監事によってなされているが、その決算と予算にみる本学の財政状況の説明責任が、大学の公共性と学生の授業料で運営されている私立大学の性格から重要となる。私立大学が、誰に対して、財政状況を、どこまで説明する責任があるかである。@学内構成員としての教職員、A学費負担者としての学生・父母、B私学補助を受けていることから社会一般、に対しての説明責任が問題となる。
 学内教職員に対しては、予算については、部局館長は部局館長会、予算委員会、課長以上の事務職員は、予算委員会、の構成員であることから、その内容について認識しており、各教員、事務職員においても、各部局に予算書は配布されていることから、その内容は知っている。決算については、概要について、学報で報告されているにとどまる。
 学生・父母に対しては、学報で、予算、決算の概要が報告されている。同じように、社会一般に対しても、学報で公開しているにとどまる。

【点検・評価】
  本学においては、予算、決算の概要を学報に載せることで、定期的に学内外に向けて公開することで、アカウンタビリティの履行に努めている状況であるが、その適切性、妥当性や有効性を検証するシステムは現段階では導入されていない。
 監査システムは財務監査にとどまっており、業務の監査には至っていない。

【改善・改革方策】
 財務情報の概要を「学報」で公開することでアカウンタビリティを履行しているが、さらに、学生、受験生、父母に理解できるように解説する。学内教職員に対しては、財務情報の理解を深めるためにより細かい情報開示をする。外部評価委員会を創設して、学外の第三者による財務、業務、研究・教育の監査を実施する段階と判断する。



5 財政公開
【現 状】
 学校法人は、公共性、自主性、永続性の性格をもっている。学校法人は、公共性を根拠に、国庫補助金を受け、かつ非課税法人として社会的に優遇された公的存在となっている。このような学校法人の公共性により、個別学校法人は財政の公開を行っており、本学も財政の公開を行っている。本学の財政公開の方法は、教職員、学生、父母に対し、「学報」で、消費収支の予算・決算、資金収支の予算・決算の概要を広報している。2002(平成14)年度からは貸借対照表の概要も広報している。「学報」は、毎年3回、4月、10月、1月に各8,000部発行し、父母、教職員、学生、校友会役員、市町村教育委員会、マスコミ各社、県内の高等学校へ送付している。

【点検・評価】
  財政公開の状況とその内容・方法について、「学報」で公開されているが、その配布先と発行部数から適切であり評価できる。さらにホームページでも公開されている。

【改善・改革方策】
 大学の財政状況の公開は、私立大学が私学助成の交付を受けており、また学生等納付金が大半を占めていることから、今後、より詳細な財政状況の公開が必要であると思われる。


6 私立大学財政の財務比率
【現 状】
 本学において財務比率は、決算書に添付して当該年度の決算評価の資料としている。
1998(平成10)年度から2002(平成14)年度の財務比率は基礎データ調査表に掲載されているが、消費収支計算書関係比率は表46-1、貸借対照表関係比率は表47のとおりである。

【点検・評価】
 財務比率で本学財政を点検・評価する基準を下表の私学振興財団発行の『「今日の私学財政」の読み方・使い方』記載の消費収支計算書関係財務比率の階級別評価区分を点検・評価基準とする(以下、私学財政基準と略称)。大学間競争の時代における財政の評価基準は客観的基準志向となり他大学との比較が重要となるからである。
 以下の1)〜7)の比率を@1998年度、A1999年度、B2000年度、C2001年度、D2002年度の推移から財政状況の評価を試みる。

評価区分
比率(算式×100)
良  い
やや良い
普  通
やや悪い
悪 い
人件費比率
人件費/
帰属収入
40未満
40〜50未満
50〜60未満
60〜70未満
70以上
人件費依存率
人件費/
学生納付金
60未満
60〜70未満
70〜80未満
80〜90未満
90以上
借入金等利
息比率
借入金利息/
帰属収入
1未満
1〜2未満
2〜3未満
3〜4未満
4以上
消費支出比率
消費支出/
帰属収入
70未満
70〜80未満
80〜90未満
90〜100未満
100以上
消費収支比率
消費収入/
消費支出
85未満
85〜95未満
95〜105未満
105〜115未満
115以上
基本金組入率
基本金組入額/
帰属収入
35以上
25〜35未満
15〜25未満
5〜15未満
5未満
減価償却比率
減価償却額/
消費支出
12以上
9〜12未満
6〜9未満
3〜6未満
3未満
1)  人件費比率は、人件費の帰属収入に対する割合を示し、低い値が良いとされる。人件費は消費支出の大半を占めているので重要な指標である。本学のこの5年間の比率の推移は、@58.32%→A49.87%→B48.31%→C49.0%→D44.19%、となっている。上記私学財政基準では、B評価(40〜50未満)のやや良いということになる。
2)  人件費依存率は、人件費の学生等納付金に対する割合を示し、低い値が良いとされる。一般的に人件費は学生等納付金に収まっていることが望ましいとされる。本学の当該比率の推移は、@75.47%→A67.58%→B60.81%→C60.54%→D58.09%となっている。私学財政基準でみると、大体、B評価(60〜70未満)のやや良いという評価になろう。
3)  借入金等利息比率は、借入金等利息の帰属収入に対する割合で、低い値ほど良いとされる。本学の推移は、@1.77%→A1.48%→B1.36%→C1.27%→D1.06%となっている。私学財政基準で評価すると、B評価(1〜2未満)のやや良いということになる。
4)  消費支出比率は、当該年度の帰属収入に対して人件費・教育研究費・管理経費・借入金利息・その他の消費支出として消費された割合を示すもので、消費収支分析上最も重要な指標である。この比率が低いほど、帰属収入から消費支出を差し引いた額が大きく、その分だけ自己資金は充実することになり、経営の充実度を示すことになる。本学で、その重要な比率の推移をみると、@90.47%→A77.92%→B78.98%→C83.23%→D73.34%となっている。私学財政基準に照らすと、B評価(70〜80未満)のやや良いと、平均していえよう。
5)  消費収支比率は、消費支出の消費収入(帰属収入から基本金組入額を引いた額)に対する割合で、低い値ほど良いとされる。本学の当該比率の推移は、@116.21%→A90.34%→B95.71%→C97.10%→D86.19%、となっている。私学財政基準で評価すると、B評価(85〜95未満)のやや良いという方向にあると評価できよう。
6)  基本金組入率は、学校法人の諸活動の計画に基づき、必要な資産を継続的に保持するため当該年度に取得した基本財産の額を帰属収入の中から基本金に組み入れた比率である。本学の基本金組入率の推移は、@22.15%→A13.75%→B17.48%→C14.28%→D14.92%、となっている。私学財政基準で評価すると、C評価(15〜25)の普通に近いといえよう。
7)  減価償却比率は、減価償却額の消費支出に対する割合で、高い値ほど良いとされる。本学の、その比率の推移をみると、@9.64%→A10.13%→B10.68%→C9.58%→D10.77%となっている。私学財政基準にてらすと、B評価(9〜12未満)のやや良いという評価になる。
 以上から、消費収支に関して、本学の財政状況は「やや良い」という評価をすることができる。消費収支計算書関係比率、各項目ごとの比率は適切であると評価できる。

【改善・改革方策】
 基本金組入率が、C評価であるが、教育研究施設の建設の必要性が高いことを踏まえて、2号基本金を増額する必要がある。2001年度1億円、2002年度2億円と増額している。