2010年08月09日

アメリカ現地リポート

 
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Posted by ミチさん at 18:50Comments(0)TrackBack(0)反基地

2010年08月09日

続「アメとムチ」の構図 ~砂上の辺野古回帰~⑯

嘉手納方式
 
埋め立てて市有地化 地元が潤う仕組み


 防衛相北沢俊美が辺野古区長大城康昌、名護漁協組合長古波蔵廣らと面談した6月22日は、部隊視察のため午後から仙台市への出張の日程が組まれていた。

 が、北沢は急きょ面談を申し入れてきた区民らのために、新幹線の乗車時間を遅らせて対応した。

 名護市長稲嶺進が明確に移設に反対する今、行き詰まり感のある地元交渉の打開の糸口には、希少価値の高い地元の「積極的容認派」に絞ってアプローチするしかない、というのが防衛省の認識だ。大城や古波蔵が厚遇される背景には、こうした防衛省の打算もうかがえるが、政府の腹はそう甘くはない。 

 知事や名護市長が移設受け入れに難色を示している時期に、地元区の推進派の有力者が上京し、防衛相や同省幹部らと密会を重ねるのは、米軍再編時にも繰り返されたパターンである。

 しかし米軍再編の際、いったん市がV字案で容認に転じると、政府が地元区に向ける視線は急速に冷たくなった。自公政権の崩壊や移設反対派の市長の誕生も重なり、地元区が突きつけたかつての要望事項は道半ばとなっている。

 辺野古区行政委員会の副委員長宮城安秀は「地元は国を信用していなかった。だから事業がしっかり実施されるよう覚書を交わすよう求めたが、あいまいに言い逃れられてしまった」と振り返る。

 こうした苦い教訓を肌で知る地元容認派の間では、最も重い基地負担を受ける久辺3区が確実に潤う仕組みを求める声が根強い。迷走の末に政府が「辺野古回帰」の方針を示した今、地元ではV字案の際の1世帯当たり1億5000万円の一時金要求を倍増し、「今度は3億円くらい要求しないと」との本気とも冗談ともつかない声が聞かれる。

 5月中旬。普天間飛行場が一望できる宜野湾市の在沖米国総領事の私邸。総領事グリーンと古波蔵、名護市の前副市長末松文信が会談した。

 この席で古波蔵は「埋め立て以外は認められない」と強調した上で「基地は子や孫に残せる財産にならなければだめだ。くい打ちはただの施設だが、埋め立ては土地、国土になる。この国土を名護市に払い下げてもらい、名護市有地として国に貸す方式なら受け入れる。これは沖縄防衛局の建物を造るときに嘉手納町が採用した方式だ」と主張した。国から徴収する借料は年間5億円を見込んでいるという。

 関係者によると、グリーンは「埋め立てにすると約束する」と即答した。この面談についてグリーンは「特定の誰と会ったか、何を話したかについては外交儀礼上、公表できない」と内実を伏せながらも、「辺野古周辺の皆さまのご意見はもちろん非常に大事にしている」と移設先の意向を重視する立場を強調した。(敬称略)
(続「アメとムチ」取材班)



  

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