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円高是正こそ国益である
失政続きの小泉経済政策を糺す
衆議院予算委員会7月22日
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総理のいう構造改革とは何ですか
○仙谷委員 総理は、先週金曜日、十九日にも政策制度改革案の指示をなさったというのを新聞報道で拝見をいたしたわけでありますが、総理、この公的部門の改革といいましょうか、行財政改革といいましょうか、こういう点については、日本の場合にはいわば金融社会主義、あるいは公共事業を社会主義的に使っている、こういう批判もありますし、官の部門、公的な部門の改革が避けられない、この改革なくして経済構造の改革もないというふうに総論的に私は思っているんですね。
だけれども、民間のといいましょうか、経済構造そのものの改革というのは、やはり官の部門の資源配分を担う諸官庁等々の仕組みをいじくるだけでは不十分じゃないだろうか、こんな感じがしておるんですが、総理が目指される経済構造改革というのは、端的に言って、素人がわかりやすいように、私がわかるようにおっしゃっていただくとすると、一点、二点あるいは三点ぐらいに要約するとどういうことになるでしょうか。いかがですか。
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○小泉内閣総理大臣 全部話しますと質問時間を全部とっちゃいますから、それは遠慮しますが、簡単に申し上げれば、官と民の役割見直し、政府にできること、民間にできること、民間にできることはできるだけ民間にゆだねようと。同時に、地方と中央のあり方、地方においても個性的な地方活性化策を持っているだろう。なおかつ、これからの経済活性化を考えますと、不良債権処理と同時に税制改革というものも、今までゆがんできた面もありますから、その負担に値する簡素で効率的な政府をつくるためには、国民が参加してもらうような、給付と負担ということを考えながら参加してもらうような税制改革等、いろいろ改革すべきところはたくさんありますが、そういう点を総合的に考えながら、これからの、官の行き過ぎた分野に民間の活力をいかに引き出すかという点に大きな点があると私は思います。
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日本はただならぬ状況に立ち至っている
○仙谷委員 総理、先般の鳩山由紀夫民主党代表との党首討論で、だめだだめだ、悪い悪いと言うな、こんなによくなっているんだという話をされましたけれども、やはり、これは金曜日、きょうの株価を見るのみならず、総理が御就任されてからのデータあるいはこの五年間のデータを虚心坦懐に直視すると、日本はただならぬ状況に立ち至っているという基本認識がまず必要だと思うんですね。(資料を示す)資料1(gif画像)
今この一ページをごらんいただきますと、「日本経済の現状」ということが書かれておりますけれども、これはどこを見ても暗たんたる思いで見るしかないということだと思うんですよ。
これは、成長率は、まあ見通しは絶えずプラス見通しを予算編成のときに立てるんだけれども、結果としては、特に名目の数字は二年連続マイナスですよね。六年前の規模に縮小しているわけですよ、名目のGDPの数字は。
「国と地方の長期債務」は、総理が問題にされているように、ふえるばかりで、どんどんふえて破天荒にふえる、どこまで続くぬかるみぞみたいな話になって、ボツワナ以下に格下げまでされちゃった、こういうことでしょう。
「サラリーマンの収入」も、これは一九九〇年に比べたら二万円も小遣いが減っているんですよね。これは、幾らデフレ状況とはいえ、二万円小遣いが減ったら、サラリーマンも昼飯に、あるいはコーヒーを飲むかお茶を飲むかしても厳しいということになると思うんですよ。
「雇用情勢」は、就業者数が百三十二万人減少した。三百七十五万人の完全失業者の上に実質的な失業者が百十万とも百二十万とも百三十万とも言われる数が上乗せされている。もう失業保険をもらう期間もなくなったから職業安定所へも行かない、行けない。だから、現実の完全失業者数の上にカウントすべき失業者が日本には存在するということなんですね。
「自己破産」、「企業倒産」に至っては、もう毎年毎年ウナギ登り、こんなことになっておるわけですよ。
「株価」は、これはお渡しした資料の八枚目を見ていただくと、これは小泉さんが就任された四月二十六日の日経平均、TOPIX、いずれについてもちゃんと記載をしてございます。ことしの四月二十六日、先週の金曜日、いずれについても、書いてみるとこうなっておるわけです。時価総額でいえば何と百十兆円も、小泉さんが就任してから東京証券取引所に上場されておる会社の株式の時価総額が百十兆円も吹っ飛んでいるんですよ。そんな事態になっている。資料8(gif画像)
「不良債権」は、依然として出口がまだまだ見えない。というよりも、これは柳澤さんに後で聞きますけれども、柳澤さんの孤軍奮闘にもかかわらず、到底減らないですよね。体力を消耗して、ことしからはちびちびとつめに火をともすような業務純益だけで処理していかなければならない事態に立ち至っている。常識化しているわけですね、この話も。
こんな中で経済構造を改革して、どういうところへ持っていこうとするのか。どうですか、何か目標はありますか。失業率をどのぐらいにする、経済成長をどのぐらいにする、あるいは、一番聞きたいのは利子率の問題ですが、どのぐらいの利率がこの日本という社会の中でいわゆる適正金利として通用するようにする社会にするのか。これはいかがですか、総理。
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○小泉内閣総理大臣 利子率の問題はともかく、私は就任以来、二、三年の低成長は我慢すべきだと。今、この厳しい状況だからこそ危機感を持って改革に立ち上がるべきときだと。この時代は明治維新と第二次世界大戦後の大きな転換期にまさるとも劣らないとよく言われておりますけれども、やはり数字を、今言われたようにすべて悪い、だからこそ危機感を持って新しい目標に向かって進むべきだということで、構造改革路線を進んでいるわけであります。
当面のこの状況をすぐプラス成長にやっていけるような即効薬はないと思っています。そういう点で、私は将来、この二、三年の低成長は我慢しつつも、三年、四年はともかく、五年以降プラス成長を目指して今構造改革路線を進んでいるわけでありまして、私は、早急にこの停滞を脱却するために、かなり賛否両論はありますけれども、手をつけるべき改革に手をつけ始めた。若干時間がかかることは御理解いただきたいと思います。
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民主党政権だったら経済を立て直して見せる
○仙谷委員 民主党に政権をいただいたら、この十数年の、あるいは少なくとも九二年からの先送りをやらなければ、多分私、二年いただいたら、三%の成長、三%の金利、三%の失業率、やってみせますよ。(発言する者あり)いや、あなた方は全然できない、それは。間違っているから、理論が。やってみせますよ。
だけれども、総理のかく経済構造の絵姿が、果たして金利が発生するような自由な資本主義社会になるのかどうなのかわからないんですよ、わからない。
税金を払える企業をつくるのが構造改革の柱
私は、経済構造改革というときには、総理に言ってもらいたいのはこういうことなんですよ。やはり、利益率の上がる企業がもっとふえてくるようなそういう民間経済をつくるんだ、ここが一つ。つまり、金利を払えるような企業が簇出してくる、ここが一つですよね。
もう一つは、産業自身が大胆にサービス化、ソフト化をしなければならないんだ。日本は、余りにも旧来の産業が、非効率で利益を稼げないけれども存在し過ぎる、残念ながら。これは財務大臣が一番わかっているんですよ、本当は。つまり、税金を払わない企業がこんなにふえてきた時代というのはないはずですよ。そうですよね。税金を払える企業をつくろうということが経済構造改革の目標であり柱だと私は思うんですよ。そのためには、企業をサービス化、ソフト化するということがない限り、あるいはそういう企業に変わっていってもらうということがない限り、これは絵にかいたもちになる。
いつまでも公共事業に頼って、公共事業に出す金額が減ったら、どかんとその分だけ成長率が落ちるなんということを何回繰り返してもだめなんですよ。だから、総理がおっしゃるように、二年間辛抱せいと言うんだったら、みんな辛抱しようと思ったんじゃないですか、国民は。ところが、果たしてそういうふうになっているのかどうなのかが甚だ疑わしいということなんです。
アジア各国との為替レートが現状のままでは中小企業はつぶれてしまう
もう一点、重要なことを聞きます。
総理、G7、G8、いろいろなところへ出かけていかれます。日本とアジア各国の為替レートの問題ということは、総理の方から、あるいは塩川財務大臣の方から問題提起をされたことがありますか。
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○小泉内閣総理大臣 個別の首脳会談で出る場合がありますが、本来、通貨政策、為替政策はその国独自の成果であります。とやかく口出しするべきでない点もわきまえながら、やんわりと日本の円安を批判されるときがあったり、あるいは、日本としても急激な乱高下は望まない、為替の安定策についてはそれなりに意を用いているんだというような話をいたしますが、基本的に、私は、通貨政策というのは各国独自の政策に関することでございますので、個別に下げろ上げろという点は、全般的な話の中では深くかかわるべき問題ではない。
ただ、世界全体の中で協調的に何とか対応しようという点は別でありますけれども、個別の問題については、各国の独自政策を尊重すべきだと思っております。
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○仙谷委員 先ほど五十嵐委員からも提起いたしましたけれども、ちょっと中身を示します。
五枚目をめくってください。資料5(gif画像)
これをあるシンクタンクが調べて、示していただいて、これを見て私はびっくりしたんですよ。何で経済の動向、景気の動向、もっと言えば経常収支の動向等々と反対に為替レートが動いているんだろうか、一九九〇年から。どうです、これ。アジア各国とのレート、とりわけ中国は、一九九〇年は一元が、人民元が三十円二十七銭だったのが、直近では十四・〇八円になっている。つまり、五三・五%も円が切り上がっているんですよ。韓国のウォンも五一・八%切り上がっているんですよ。
これでは、平沼大臣所管の民間の企業が必死になって、物づくりが大事だ、工場を残さなければならない、一所懸命やっても、この為替レートではとても中小企業は、日本でつくって輸出するとか、あるいは日本でつくって日本で売るということすら困難な状況に立ち至っているというのはおわかりいただけるんじゃないんでしょうか。塩川さん、どうですか。
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○塩川国務大臣 今、アジア諸国並びに世界的に通貨の調整時期にあると私は思っておりまして、その点におきまして、円が高いか安いかという批判は、直接は避けたいと思っております。
先ほど総理が申しておりましたように、この問題は、為替のレートはまさに市場原理によって決めるものでございますから、避けたいと思っておりますけれども、しかし日本でも、かつては一ドル八十円時代、そういう苦難な時代も抜けたことがございまして、要するに、そういう時代を抜けまして為替の安定を図ってまいりました日本は珍しい国ではないかと思っております。アジア地域におきましては、五十何%、六十何%の切り下げや切り上げという変動はやってまいりました。それは、すなわち、アジア通貨危機というものを引き起こしてきたことでもございます。
ですから、仙谷さんのおっしゃるように、我々は実際はこの為替の問題、非常に心配しております。また、どちらかといえば、貿易の収支を考えるならば、円安に行く方向が望ましいということは当然であろうと思っておりますけれども、しかし、それがために日本のファンダメンタルズを崩してしまってはならぬと思っておりまして、そういう関係等を見まして、私たちは、市場の動向を十分に監視しながら、極端な動きがあったらいつでも介入し得るんだというその準備と態勢はとって為替の動向を見ておるというのが現在のあり方であります。
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○仙谷委員 今の御発言は、少々……(発言する者あり)
○津島委員長 御静粛にお願いします。質問中ですから。
○仙谷委員 何が冗談じゃないのか、わかりませんが。
憂慮すべき産業空洞化をまねく円高
いいですか。まず、竹中大臣にお伺いする前に、平沼さん、この円高が日本の産業の空洞化に与える影響というのをどういうふうに見ていますか。
つまり、産業の空洞化、経済産業省の方にお願いしましたら、産業空洞化の実態というのを持ってきていただきました。海外進出企業は、九〇年からでも約倍といいましょうか、海外生産比率が一七ポイントから三四・三ポイント、それから製造業全体で見ると六・四が一四・三ポイントに、ここまで空洞化が進んでいるといいますか、海外で生産する比率が多くなっている。あるいは逆輸入の比率等々、こういうものも見ても、激しい勢いでいわゆる空洞化と言われる実態が進んでいるということになるわけですが、円高とこの空洞化というのは関係あるというふうにごらんになっていますか。どうですか。
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○平沼国務大臣 仙谷先生が御指摘をした工場移転率といいますか、その移転率は今おっしゃったとおりでございまして、最近五年間でも、中国に三〇%、そういう形でふえていることも事実です。それはやはり、例えばお隣の中国ということを見ますと、労賃が日本の二十五分の一とか三十分の一、こういう大変大きな格差がある。そういう中で、やはり新天地を求めて日本の企業があちらに進出する、こういうことであります。
ですから、そういう意味では、ある意味では私は影響なしとはしない、こういうふうに思っておりますけれども、しかし、大局的に考えますと、やはり、中国あるいは東アジアのそういった国々とは、お互いに補完関係、共存関係、こういう関係があります。
ですから、そういう中で私どもは、お隣の中国を考えた場合には、やはり技術革新を起こして日本が二歩三歩先を行く、こういう体制をつくっていくことが日本にとっては私は非常に将来的に考えた場合には必要なことだ、そういうふうに思っておりますし、また、もう一方の視点からいうと、中国脅威論ということよりも、むしろ、人口が十三億いて、経済成長率が非常にこのところ堅調な、そういった中国と、十三億の市場がある、こういう発想でやはり中国とつき合っていくことが必要だと思っております。
私は、立場として為替のことについては云々はできない、これは影響が出ますから云々しませんけれども、やはり、要はファンダメンタルズにぴしっと反映して安定的に推移をするという形で私どもは注意深く見守っていかなきゃいけない、こう思っています。
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○仙谷委員 平沼大臣にして国益について大変甘いお話しか聞けないので残念なんでありますが、竹中さん、デフレとこの円高というのはどういう関係になっていますか。どういう理解をしていらっしゃいますか。
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○竹中国務大臣 基本的には、デフレの原因が何であるかということと海外の物価がどのように関連しているかという御質問だと思います。
デフレの要因は幾つかございます。一つには、国内の金融仲介機能が低下していて、マネーサプライがなかなかふえないという事実もありましょう。また、国内で、特に技術要因等々で、パソコンの値段が下がる等々が典型的ですから、供給側の要因もあると思います。同時に、海外との競争、特に中国との競合というのは、確かに一つの要因になっているというふうに思います。
ただ、一点、先ほど仙谷委員が御指摘になりました為替レートのアジアとの比較、これは私たちも大変重要な問題だとして興味を持っておりますが、やはり、二点申し上げたいんですが、どこの時点と比較するかというのが一つの要因だと思います。九〇年と比較しておられますが、九五年と比較すると、九五年は一番円高でありますから、逆のまた結果が出てくるというのが事実だと思いますので、この点の評価は慎重にならなければいけない。
それともう一つです。実は、デフレと為替レートはお互いに原因と結果になりますから、例えば申し上げますけれども、タイとかは物価上昇率が五%、六%ある、日本はゼロ%であるということになるならば、日本の為替レートは、名目為替レートは五%ずつぐらい切り上がっていかないと、実質為替レートは一緒になりません。これは、十年で五%の差だと五〇%ぐらいの数字はすぐ出てまいりますから、あの表だけで議論をするのは少しミスリーディングではないかというふうに思います。
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○仙谷委員 タイとかインドネシアについてはそういうことが言えると思うんですね。例えば、シンガポールの政府高官が、あるときに、サムスン電子がこの間、半導体の製造シェアあるいは出荷のシェアで完全に、日本の日立、東芝、NEC、その他電機メーカーの半導体製造よりもシェアが一社だけで上回った、こういう事態は何なのか、為替レート以外には考えられないという話なんですね。
もう少し本当は為替レートについて敏感なんだけれども、物が言えないということなのかもわかりません、政府当局者は。しかし、私は、そんなことであっては日本の少なくともデフレの進行と空洞化はますます進む、その空洞化というのは多分地域経済をもっともっとひどくして崩壊に導くのではないか、そういう危機感を持っております。我々、地元へ帰りますと、優良な中小企業ほど出ていかざるを得なくなっているんですよ、中国やアジアに。そう思いませんか、皆さん。
プラザ合意以降の場当たり的な為替政策を反省せよ
一つは為替ですよ。この円高ですよ。一九八五年のプラザ合意以降のこの円高なんですよ。何で日本が国際的な会議で、プラザ合意、ルーブル合意の中でドルとの関係において修正を迫られたのか。そのあげくに過剰流動性をつくってバブルをつくってしまった。この反省なしに、今のグローバライズしたこの経済に我々がどう立ち向かっていくのか。
特に、政府のマクロ政策として、通貨について、為替について、戦略的な考え方を持たないで、その場限りであったり、必要以上に他国の思惑を気にして物を言えないというようなことになったらどうなるんですか。職場がなくなるじゃないですか。私は、マクロ政策を考えるときに、通貨を戦略的にもう少し考えていただきたい、そしてそのことをアナウンスしていただきたい、そういうふうにこの間ずっと考えているんですよ。
もう一枚、六枚目を見てください。これは、中国の対ドルのマーケットレートと購買力平価で修正したレートをまず上の方に記載してあります。次は、円の対中国人民元レートと、同様に購買力平価で修正したものが書いてあるんです。資料6(gif画像)
中国の人民元との関係は適切か
ずっと、七〇年から見ても、元がドルに対しても安くなり、中国元がドルとペッグして安くなっているために、今度はドルと円の関係からして、円に対してもこんなに人民元が安くなっているんですよ。
皆さん方御承知のように、中国は、七八年に改革・開放政策をとったというふうに言われています。九二年が例のトウショウヘイさんの南巡講話のときであります。九〇年ぐらいから見ましても、GDPが約三倍になっています。七〇年代から見ると約八倍になっています。そういう伸び行く経済を持つ国とドルとの関係、伸び行く経済を持って外貨準備高をため込んでいる国と円の関係がなぜに逆さまになるのかという、理解しがたいことがここで起こっている。
中国がWTOに加入をしたわけでございますから、この中国の人民元あるいはアジア通貨との関係を、これは先進各国の共通の利益として議題として、サミットの中でも、あるいは蔵相会議の中でも議題として提起して調整が図られるようにすべきだと思うんですが、いかがですか、財務大臣。
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○塩川国務大臣 御指摘されたことは、本当に一番大事なところだと私は認識しております。
実は、この前、上海で財務大臣のサミットがございました。そのときでも情報交換をしております。我々は、中国がWTOに加入したこともあって、為替の開放を強く要請しております。中央銀行の総裁で戴行長と申す方でございますが、行長さんにも私たちから、為替の自由化の促進を急いでほしいということを申し入れいたしております。行長、総裁でございますが、総裁も、その方向で鋭意努力する、しかし今までの国内経済体制の整備等の必要があるので急激なことはできにくいけれども、その方向性については我々も了解しておる、こういうお話でございました。
今お話にございましたように、我々は、為替の推移についてはすべて市場経済に委任しておって全く無視をしておるというわけでは決してございませんで、お互いの財務担当間におきましては激しく情報の交換をしておりますし、また、介入の問題につきましても、自分らの一存でやるということをやりました場合に、世界のそういう自由な秩序を崩してしまうこともございますので、その間は十分な両方の情報の交換をやっての上でしておるということは御了解いただきたいと思っております。
いずれにしても、先ほどおっしゃいましたアジアの通貨というものが、アジア危機を経ました結果として、IMFとの関係等がいろいろございまして、なかなか調整は難しゅうございますけれども、できるだけそういう公的な国際機関を通じまして、話し合いによって徐々にいい方向に誘導していきたいと思っておりますので、努力はひとつ続けてまいります。
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円高で地方経済は壊滅の危機
○仙谷委員 私は時は急を要すると思うのですね。このまま三年も五年も日本がゼロ%金利の中で停滞をし、つまり停滞をしている象徴がゼロ%金利だということになって、一方ではレートが、多少の変動はあるものの、現時点でのレート幅から、つまり円高から余り変わらないとすれば、これは私は、本当に製造業、地方経済は壊滅に至る、そのことによって地方金融機関も心中するということになる、こういう危機感を持っておりますので、ぜひこれは財務省の、昔の国際金融局、今は国際局というんですか、国際担当、それから総理も、これは大胆に提起をすべきだ。日本の国益を背負って、日本の浮沈がかかっているということで提起をしていただきたい。改めて申し上げておきます。
公的部門への貯蓄のためこみ=郵貯、簡保、年金
さらに加えて、今度は総理得意の部分。これは、九ページを見てください。なぜ円高になるのかというもう一つのお話であります。資料9(gif画像)
日本は、この十年間、約三百九十八兆円、四百兆円金融資産をふやしたんですね。ところが、ごらんいただくとわかりますが、公的部門で三百十五兆円ふやした、郵貯、簡保、公的年金で貯蓄がふえた、こういう計算になっておるようであります。民間の方は、ふえたのは八十三兆円、約八十四兆円ですね、八十三・八兆円ですから。こういうことになっておるわけですが、この公的部門への貯蓄のため込みというのが次の問題です。
そして、対外証券投資のところをごらんいただきますと、増減の八十三兆八千億のうち、民間の金融機関は、それでも四十兆八千億は対外の投資をしておる。ところが、公的部門は、三百十五兆の貯蓄をふやしながら、対外の証券投資が十六兆七千億、これだけしか外へお金を持っていっていない。この間の経常黒字の累積額が百四十一兆円ですから、百四十一兆円のうち、十六兆円、十七兆円ぐらいしか海外に公的部門は投資をしない。これは、この分が、当然のことながら、ISバランス論からいうと、つまり貯蓄超過分が経常収支の黒字になってあらわれてきているということになるわけですね。
当然のことながら、これは円高を強く支えるというか、円高の原因になっているというふうに考えるのでありますけれども、竹中大臣でも塩川大臣でも結構ですから、御答弁いただけますか。
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○塩川国務大臣 数字から御指摘のように、公的部門におきますところの対外投資というのが非常に少ないのは、これは一つは、対外投資は、直接公的資金でやりますと、そのリスクはだれが負うのかということが問題になってくるのでございまして、そうであるとするならば、やはり民間を通じた、民間セクターを通じた投資をしなければいけない。その分が民間でふえておるということの理屈になってくるのでございまして、もっと投資をふやしていくということ、それは一つありましょう。
けれども、最近におきましては、民間セクターにおきましても、外国証券、特にアメリカ国債の購入が非常に進んでおりまして、ちょっと日本だけが特異で、ほかの国は他の外貨準備にシフトしておるところが随分ございます。特にヨーロッパ等におきましては、米国債からユーロ債に切りかえておるところも顕著に出てきております。
ですから、日本も外貨保有をできるだけ多様な資金に振りかえていくということは当然努力しなきゃならぬと思っておりますが、しかし、貿易を見てまいりますと、貿易の決済の六十数%はドル決済だ。これもひとつ考えなきゃならぬところでございまして、できるだけ円決済をしていただいたら、私は非常に円高是正に役立ってくるのではないかなと思ったりしておりますけれども、そういう介入はなかなか、民間取引に直接介入することでございますので、やり方は非常に難しいと思っておりますけれども、要するに、貿易の決済の方法もあわせて考えていくということも一つの対策であろうと思っております。
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○仙谷委員 さっぱり要領を得なくなってきているんですが、つまり、リスクをとれないとおっしゃるんだったら、そんないわゆるPKOと言われるような、郵貯、簡保の資金で指定単なんというところへ持っていくべきじゃないんじゃないですか。現に、これは七月十二日の新聞ですけれども、郵貯、簡保の二〇〇一年度決算で含み損を五兆六千四百六十七億円出したと書いてあるじゃないですか。株式投資でこんなことをやっているじゃないですか。
つまり、我々が絶えず疑って言っているのは、マーケットでPKOだPKOだと言われる、つまり信託銀行を通して郵貯、簡保、年金の資金がどんどん株式を買い支えに来る。毎年毎年、年度末、九月末にそんなことがあると言われております。現にそのとおり、これは物の見事に二割ぐらい含み損になっているんですよ、一年間で。こんなことを放置しながら、では自主運用と称して、株式運用、外国債券運用をリスクが多いというふうに言って縮こまったら、これはどこへ行くんですか、このお金。巨大なお金なんですよ。そうですよね。この金がじいっとたんす預金になっていても困るし、かといって、おっしゃるように、では株式はリスクが大きい、外国債券はリスクが大きいというようなことで国庫の金庫の中へしまわれておっても、何の運用益も生みませんよ、これは。
つまり、ここに、総理が今度の郵政関連法案の中で、本来は先にさわらなきゃいけない方を全然さわらないで郵便事業の方をさわっちゃった、この大問題がありますよ。だから、あなたの方向性が、もしここをやらなければ日本が、日本のせっぱ詰まった構造というのがここにあるんだということをおわかりだったら、思い切って何かやり方を変えなきゃいかぬ。つまり、外国債券を郵貯、簡保の資金ででももっと投資をするというふうなことを考えるか、要するに、ある種の相当程度のリスクをとったマネーとして出ていかざるを得ない、そうならないと経済が動かないということをお考えになった方がいいですよ、経済構造改革と言われるんだったら。いかがですか。
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○小泉内閣総理大臣 私は、議員の中でだれよりも早く今の郵政三事業の問題点を指摘してきた者と思っております。
今回は、郵政公社化の法案なんですよ。民間参入にしても、私が言い出す前にどの政党も言わなかったじゃないですか。これから大改革の大きな一歩だと言っているんです。
今言った点も、非効率な部門に公的資金が投入される、利益の生むところに行かない、だからこそ構造改革しなきゃいかぬと言っているのであって、私が初めて郵便に対する民間参入を言ってきたからこそ、不十分だという議論が出たんでしょう。私はそれを歓迎しますよ。これから財政投融資を初め特殊法人、郵政の民営化というのはどんどん議論してもらえばいい。ともかく風穴があいたんです。今第一歩を進めて、不十分だという声が出ているのを私は歓迎しますよ。それじゃ、対案を出していただきたい。
これからも大きな改革に向けて、さらに皆さんが、この公的金融のみならず、国の資金を、いかに生産的な部門に税金を使うかという点にも意を用いていただくことによって、私は経済活性化の道が開けるのではないかと思っております。
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○仙谷委員 そんなお話百遍聞いても、もう五十回ぐらい聞かされましたよ、私が初めてやったって。そんなの五十回聞いても、日本の??私が言っているのは、いいですか、資金の循環をあなたはどう考えているんですかと聞いているんじゃないですか。この公的資金を、公的に蓄積された貯蓄になっている資金をどうするんですかと聞いているんじゃないですか。私は外国債でも買えと言ったじゃないですか。何を言っているんですか。いいですか。
実質ゼロ金利は家計部門、年金部門を直撃
日銀副総裁においでいただいていますので、ちょっとお伺いするんですが、今、ゼロ金利になっていますね、実質ゼロ金利。このことによって家計部門とかあるいは年金部門とか、いろいろなセクターでどういう不利益とか矛盾が発生しておりますでしょうか。
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○藤原参考人 お答えいたします。
低金利の弊害ですけれども、先生御指摘のとおりに、まず家計の利子収入が減っているということもありますし、それから機関投資家が運用できなくなっているというようなこともあります。それから、日本銀行がマーケットのプレーヤーの一員として入っております短期金融市場、コール市場の規模が縮小したり機能が低下しているということもあります。さらには、非効率な企業の延命等による構造改革の阻害などという点を挙げる方もいらっしゃいます。
私どもからしてみますと、確かに、低金利によりましてマーケットは以前にも増して縮小していますけれども、これは一つには、金融機関が市場で資金を調達する必要がないほど日本銀行が潤沢に資金を供給しているということの裏返しといいますか、あらわれであるかとも存じます。
こうした金融緩和は、先般のアメリカのテロ事件とか、金融システム不安等々が何度も起こりましたけれども、そして我が国の経済にストレスがかかりましたが、その中で金融市場の安定を確保し、景気の底割れを回避するのに貢献しているんじゃないかという点は自負しております。
それからまた、景気の下支えを通じまして、企業がリストラや事業再建に取り組みやすい環境を整え、構造改革を促進している面もあるかと思います。
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○仙谷委員 これは、ある意味では年金部門とかあるいは生命保険会社とか家計部門とか、金利がつかないことで大変痛んでいると私は思うんですね。それから、名目がやはり上がってこないというか、どこの部門においても名目が上がってこない一つの原因は、このゼロ%金利だと思うんですね。
ところが、こういう状況で低金利を続けますと、今度は金利を、公定歩合でもあるいは長期金利が上がることでも、つまりそれを正常化するというふうに考えられなくて、それじゃ倒産をするじゃないか、あるいは政府の利払い費がふえるじゃないかと、怖くて今度はもうこのゼロ%金利を外せなくなる。これはいつまで続けたら気が済むんですかというか、いつまで続けたらどんないい状況が生まれるのか、これは日銀は何か見通しを持っていらっしゃるんですか。
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○藤原参考人 現在日本銀行が行っております金融政策は、デフレから脱却するということを旨としておりまして、一応めどとして私どもがコミットしておりますのは、消費者物価が前年比ゼロ%以上に安定して推移するまで今の金融政策を続けるという態度をとっております。
その間、先生御指摘のとおりに、家計収入とかそれから年金その他の弊害がありますが、まずは、金融緩和政策を続けることによって経済を下支えして、まず経済を活性化させてから金利が上昇していくような状況を実現させていくという順路、その順路に従って私どもは今金融政策を運営しているわけでございます。
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○仙谷委員 終わります。
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