2010年8月12日0時18分
2011年度の予算編成が始まった。それは、日本の浮沈をかけたものになるといっても、決して過言ではない。しかし、これまでの状況を見ている限り、来年度予算は日本経済の転落を加速する、救いようのない予算となってしまいそうだ。
第1に、財政の持続可能性がさらに遠のきつつある。政府は、国債費を除く歳出や国債発行額を、それぞれ71兆円、44兆円強という、10年度と同レベルに抑制するとしている。しかし、00〜08年度の平均がそれぞれ64兆円、32兆円であったことからみれば、それは歴史的に大きな歳出規模=大きな政府が続くことを意味する。
さらに政府内の議論を聞いていると、財政赤字・政府債務の深刻さに対する危機感は、吹き飛んでしまったかのようだ。社会保障における歳出増大圧力が容認され、菅首相の不用意な発言と民主党内の問題すり替えによって、消費税率引き上げは遠のいた。
第2に、成長力を高めるための支出がさらに削られようとしている。政府は、社会保障や農業補助を増額する一方で、各省庁の歳出を一律10%削減し、その中から新成長戦略関連支出(いわゆる特別枠)の財源を捻出(ねんしゅつ)しようとしている。しかし、過去の例をみてもそのような特別枠には、従来の政策を衣替えしただけのものが含まれる可能性があり、結果として教育費や研究開発費など、将来の成長力を高めるための支出が一段と削減される懸念がある。実際、事業仕分けでは、科学技術関連事業に対する政治家の理解の低さが目立った。
そのような予算では、日本経済は破滅への道をさらに進むことになってしまう。危機感の欠如は、目を覆うばかりだ。(山人)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。