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街頭販売の弁当店、監視に大忙し 大阪市

2010年8月11日

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写真オフィス街の路上で営業する弁当店=大阪市中央区、伊藤恵里奈撮影

 大阪市内のビジネス街で人気を呼ぶ街頭販売の弁当店。ワンコイン以下の価格設定や豊富なメニューが売りだが、道路の使用許可を取っていない違法営業も目立ち、警察とのいたちごっこが続く。夏場は衛生面の心配もあり、市は監視に大忙しだ。(白木琢歩、森嶋俊晴)

    ◇

 真夏の昼下がり。オフィスビルが並ぶ大阪市中央区本町周辺の路上や空き地に弁当店のパラソルの花が咲く。

 ほぼ毎日、街頭弁当店を利用する男性会社員(55)は「安くておかずも多く、コンビニ弁当よりいい。飲食店は昼時に混雑するので、時間も節約できる」と話す。

 15年ほど前から営業する女性(70)は約10種類の弁当を300〜500円台で販売。この日は1時間で80食を売った。最近は同業者が増えて競争が激しくなっているという。取材した店の多くは、大量生産する弁当製造業者に雇われて販売を担当していた。

 大阪市の実態調査によると、市内の街頭弁当店は2009年度で少なくとも235店あり、10年前の約1.5倍。淀屋橋や北浜を抱える中央区が108店で最も多く、中之島(北区)、靱(うつぼ)公園(西区)、新大阪駅(淀川区)周辺でも目立つという。

 大阪市では街頭販売の許可や届けは不要。ただし、公道で売る場合は道路交通法に基づいて道路使用許可を得なければならないが、本町付近を管轄する東署によると、街頭弁当店から許可申請が出たことはない。仮に申請があっても公益性が低いため許可しない可能性が高いという。

 「通行の邪魔」という苦情を受けて署員が指導しても状況は変わらない。中央区の路上で弁当を販売していた女性は「当初はビルの敷地内で売っていたが、見えにくいと客に言われて路上に出た。警察に注意された時だけ移動している」と打ち明けた。

    ◇

 市は食べ物が傷みやすい夏場を中心に衛生管理に目を光らせる。5〜10月、保健所の食品衛生監視員約80人が街頭弁当店を巡回。商品に直射日光が当たっていないか、製造者名や消費期限などの表示が適正かなどを調べ、抜き打ちで細菌検査も実施している。

 09年は路上での盛りつけなど90件の違反を指摘。同年8月の細菌検査では、63品目のうち12品目で国の基準を超える細菌を検出した。市の担当者は「今のところ街頭販売の弁当で食中毒は起きていないが、夏は指導を強化している」と話す。食中毒が起きれば、食品衛生法違反で販売者に対しても営業停止処分などを科すことができる。

 東京都はより厳しい姿勢で臨む。1960年代から条例で業者に行商届の提出を義務づけ、昨年3月末現在で422件の届けがあった。07年には各区への通知で「路上に売り台を固定しない」「温度管理のため商品は遮光性のある運搬容器に入れる」といった指導内容を徹底。都食品監視課は「人力で移動しながら売り歩くのが行商。固定した場所で販売するなら店舗としての設備を整え、許可を得ることが必要」との立場だ。

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