三條さんインタビュー part.1
【マイケルさまのコックさんにインタビューしちゃったぁ〜

( VOL.9〜11 / Mar〜Jun 1989 )

 ラッキーなことに、'87年・'88年と日本でマイケルの食事を作られた音羽亭の三條さんに来日時のエピソードを聞かせて頂けるチャンスに恵まれました〜
 大変にお忙しい方ですので、本来ならインタビューには応じて頂けないのですが、お店のマネージャーT様のお口添えもあって、「F.Cの会報のためなら」と特別にお話して頂けちゃったんですヨー彡
 我がF.Cの命を受けた特別取材員(オーバーねっ)Kさんは、高鳴りっぱなしの胸をおさえて単身三條さんのインタビューに挑んでくれたのでした。(1人で行かせてごめんネ。出張代も出せなくて…)

 場所は大阪ヒルトンホテル6Fの高級料理店“音羽亭”。
 ゴージャスで静かなお店に1歩入ると、そこには'87年にフォーカスにも載ったマイケルのサイン入り写真が飾られているというステキなお店です。
 味については言うまでもありません。

S … 三條さん    ―― … インタビュアー

―― 早速ですが、今回('88年)は21日間ずっとホテルのキッチンにいらっしゃったんですか?
はい、ずっと居ました。ホテルのルームナンバー1021号と、あと下のメインキッチンも借りてましたから。
―― じゃあ、スイートにも入られたんですか。
はい、毎日入ってましたよ。
―― キャー! すごい!! その時マイケルは居たんですか? どんな感じでした?
どんな感じって…。もう2回目ですからねェ。
―― お人形さんみたいとか(笑)
ウーン、部屋の中ではマスクかけたりしてましたから…。化粧をしていない時は僕らにもあまり素顔は見せなかったですよ。20日近く居て、こうして面と向かって話したのは3回ぐらいですね。料理のこととかいろいろとね。
今回はペプシのCMにも出ているジミーくんと一緒でしたから、料理はいつも2人前作ってたんです。
―― あ、そうですかぁ へぇ〜(感心)。
じゃあ部屋に居る時ってどんな服装をしていたんですか。
部屋に居る時は、まぁポロシャツにあの写真にもありますけどね('87 フォーカス掲載)、ああいうシャツにコーデュロイのジーパン履いてましたね。
―― パジャマとかは着ないんですか。
パジャマ? コンサート終わった時は必ずパジャマに着替えてますね。
―― (コーフン気味に)どんなパジャマ着てるんですか。
えーとねェ。普通のホラ、スポーティーなのありますでしょう。トレーナーみたいなやつですよ。
―― じゃあスウェットスーツみたいなのですね。
ええ、ああいうのが多いですね。
―― あぁそうですか。
朝食とかは食べないみたいですね。TVでも少し言ってましたけど。
朝食っていうよりも、だいたい食べるのが12時とか1時ですから。
で、コンサートのある時はだいたい1時半か2時なんですよ。コンサートの2時間ぐらい前には食べるんですよ。あんまり胃の中に食べ物があると踊りに差し支えるってことですね。
―― どんな物を食べるんですか。
う〜ん、でもコンサートのある時は結構ヘビーな物を食べますよ。いろいろ食べてましたね。
―― TVでもメニューを紹介してましたね。
えーとね、今回は日本テレビの人が内容を訊きに来たんですよ。
で、前回と一番違うのは、肉を食べるってことですね。それもトリ肉だけはいいんです。でもトリ肉も、俗に言うディープフライドっていうのはダメなんです。から揚げっていうのはね。
ですから通常フライパンを使いました。ベイクですね。ベイクドチキンだったら大丈夫だって言うんです。
要するに、ドボッと油に入れるフライはダメなんです。
―― 油などはかなり制限しているわけですか!
いえ、油なんかは別に制限されてませんよ、ええ。
―― 食塩などは?
食塩… 砂糖を使わないでくれっていうのは前回と一緒なんですけど。
―― 全くお砂糖は使わないんですか?
そうですね。ですからハチミツの方でして欲しいってことと、塩は海塩ですか、シーソルトで作って欲しいと。
―― そういうことはかなりうるさいですか。
ええ、今回でもこれはちゃんと言ってましたね。前回も言われてましたし。
―― 本人が言うわけですか。
ウ〜ン、やはりマネージャーにも言われましたし、あと本人から電話がかかって来て 「これはどういう物を使ってるんだい?」と直接訊いて来ますしね。
―― そうですか。かなりチェックが入ってるんですね、食べる事に関しては。
そうですね。例えばチキンを出したら、「これはディープフライか,それともベイクかい?」というような質問をしてきますし。
―― そういう時は、食事している横に付いて説明をされるんですか。
前回はそうですね。でも彼はゴハン食べる時にあんまり他の人を入れるのは嫌がるんですよ。
だから今回はジミー君が居たんでかなり紛らせていましたけれど、前回の大阪・東京の時はよく私もそばに付いていたんです。
まるっきり1人というのも嫌らしいんですけど2〜3人居るのも嫌みたいですね。だから自分の食事は自分の中で食べるというのがいいみたいですね。
―― それでは食事の時の音楽とかはかけないんですか。
音楽はかけてましたね。
―― どんなのを聴いていたんですか。自分の曲とか(笑)
そうですねェ… 今回はソニーの液晶テレビなんかを観てましたけどね。自分の「ムーンウォーカー」なんかのビデオを観たりね。
あとはジュリー・アンドリュースの「ドレミの歌」とかね。日本の「さくらさくら」なんかもかなり好きみたいで、よくかけてましたよ。自分の曲もかけてましたヨ。
―― BGMは必ず流してたんですねェ。
必ずって程じゃあないですね。機嫌のいい時とか体調のいい時にはそういうのをよくしていました。
それからFanのくれたいろんな贈り物ありますね。ああいう物を 「ちょっと開けてヨ」とか言ったりね。
―― (嬉しそうに)自分で開けたりとかはしなかったんですか。
いや、自分でも開けてました。でもすごい量ですからね。だからずいぶん入口の所にまき散らしてあったりね。(笑) よく見てましたよ。
―― そうですかぁー。で、プレゼントは全部持って帰ってくれたんでしょうか。
全部持って帰っています! ええ、そういう所はやっぱりエライ! と思いますよ。
全部ヒラリーが箱詰めしてましたヨ。ヒラリーがその係みたいで、いろいろと箱詰めしていましたから全部持って帰ってます。
―― 話は戻りますけど、食事の時はほとんどジミー君と2人っきりで?
ほとんどそうですね。ジミー君の両親と4人で1度だけありました。
―― バブルス君とは一緒に食べないんですか。
それはしないみたいですよ。今回はジミー君が居たからかもしれませんけれど…。
ジミー君はかなり一緒に居ましたね。一緒に寝泊まりしていたりもしていましたし。
―― そうですか。それじゃあスイートにも入っているんですね。
スイートにも入っています。
―― 他のスタッフはあまりスイートに入れないんでしょ?
ええ、ほとんどダメですね。
―― じゃあビルぐらいですか?
ビルも今回はあまり来てなかったですね。
―― あの広い部屋に2人っきりで居るんですねェー
その部屋の他にダンシングフロアーもあって、6部屋ですね。
―― ダンスの練習はかなりしてましたか?
その辺のことはよく判らないですね。僕らも拘束時間が長いものですから。
本当言ったら食事を出したらもう関係ないって感じになっちゃいますからね。
―― まぁ! そんな! もったいない! 代わって頂きたいですヨ ホントに…(笑)
だから朝も不規則なんですよ。何時になるか判らない時もありますので、11時ぐらいまでにはスタンバイもしておかなくてはいけませんしね。
―― 何種類ぐらい作られるんですか。
大体3〜4種類は出しましたよ。
―― ごはんなんかは?
ごはんも出しました。おかゆとか、チキンの中にモチ米を詰めてスタッフドチキンですか、ああいったものを出しましたよ。
ただ、もともと食べない人ですからあんまり出しても仕方ないんですね。
―― 食べる量は少ないんでしょうね。やっぱり残したりしますか?
もうほとんど残してます。
―― ほとんど残しているんですか?
でも、その、出さないと淋しいし、我々の仕事も疑われちゃうんで、とにかくめげないで出すわけですね。そうすると中にはその中で摘まんでいくものもありますけどね。

・・・ 87年10月16日のメニュー ・・・
1.ハーブティー  2.オレンジジュース   3.スイカ   4.野菜のトマト煮  5.さつまいものハチミツがけ
6.トルティーヤ  7.ポテトのチーズがけ  8.豆腐の味噌汁  9.きのこのバター炒め  10.豆腐の味噌炒め
11.キュウリとカリフラワーの酢の物  12.豆腐とブラックビーンズのハンバーグ  13.アボカドのバターライス

3・9・12・13は結構食べ、他は1皿につき2口程度だったそう


―― ほんっとに少食なんですね。
だからビルが僕にも言うんだけれども、「もともと食の細い人だから、作ってる物に対する味とか何とかが原因で食べないわけじゃないから気にしないでくれ」ってね。
でもまぁ、それは前回で解ってますから。
で、今回来た時は前よりもっと食べなくなってましたね。
―― 体調が悪かったんでしょうか?
体調が悪いっていうよりも疲れているんじゃないでしょうかね。1年以上もロードしてますしね。
―― やはり疲れているのが見えましたか?
そうですね。一昨年会った時のイメージが残ってましたんでね。今回は肌なんかもかなり荒れていましたし、やっぱり相当疲れていたんじゃないかと思ったんですけど。
―― アンコールを何回もカットしてたのも体力的に持たなかったんでしょうか。
アンコールについては、やる時はやるし、ただ今回は 「長丁場を出来る限り成功させたい!」っていうのが自分の気持ちの中にあったみたいですよ。
だから1曲ずつ増やすってことはかなりの回数を歌うことになるわけですから、「1曲を歌うことで短期間にアピールするよりは、全てのコンサートをきちんと終わらせたい」と、「そのために自分の体調を整えておく」ということですよね。
―― キャンセルなしに終わらせたいってことですよね。
ええ。だから、逆の意味での非常にFanへの親切ですよね。それは本人も言ってましたね。
「アンコールする・しないよりも、全部のコンサートを確実に終わらせたい」って言ってましたから。
―― 最終日も体力的にアンコールは無理だったんでしょうか? 諦めきれないんですけど…
う〜ん、本人もまだLAが残ってるって言ってましたから…。
まぁそれでってことでもないと思うんですけど、やはりかなり疲れてたみたいですからね。だからアンコールをしなかったんだと思います。
―― 食事は、コンサートのある日はどうなんでしょう?
コンサートの日も食事は2回です。
帰ってから、まずアイスクリーム食べて。
―― どんなアイス?
好んで食べたのはハーゲンダッツのハニーバニラっていうのです。
かなり気に入ってたみたいで、よく食べてました。ハチミツで作ってありますからシュガーは一切入ってませんし、アイスクリームは好きみたいですね。
―― 太るってことは気にならないのかしら?
いや、太るってことにはかなり気を遣ってます。自分でコントロールしてるだけで、食べれば太るんじゃないですか。
でも、酒もタバコもやりませんし、ワインも飲みませんよ。
食事の時は100%のオレンジジュースとソーダウォーターをよく飲みます。ノンシュガーのナチュラルソーダです。
―― お茶は飲まないんですか?
お茶はねー、ハーブティーを飲んでました。
―― お箸は使わないんですか?
箸はね、前回('87)の時に出したんですけども、「難しすぎて使えないヨ」って言ってましたね。
一応、使い方を書いたものを渡して出したんですよ。でも難しすぎて使えないってことだったんで、今回は出しませんでした。
―― ホテルの水を全部ミネラルウォーターに替えたって本当ですか?
いや、それはウソです。
ただ、ミネラルウォーターは彼自身はエビアンしか飲みませんけど。フランスのですけど、日本でも売ってますよ。
料理の時は極力エビアンを使うようにしていました。スープのときは鶏ガラでスープを取ったり。
でも今回は、水を使う料理は少なかったんですけどね。
―― お魚は食べないんですか?
魚はですね、白身の方だけですね、食べるのは。カジキマグロとかはよく食べてました。
あれをだから、ただ塩・コショウして小麦粉をつけてフライパンで焼くだけっていう単純な料理です。
それにブロッコリーとか野菜を添えて色彩を良くして出すんです。盛り付けについては1色じゃダメで、やっぱり赤,緑、色合いを考えないと…。
―― 食器に注文をつけたりするんですか? マイケルは。
いえ、そんなことはないです。あの人にとってはそんなのどうでもいいんです。(笑)
要は何でもいいんです。別にフランス料理が食べたいとか何が食べたいとか、そういう感覚は無いみたいですから。
―― 食事に関してはホントに興味が無いんですねェ〜
健康のために食べてるって感じでしょうね。
―― 今回、体調が悪いってことで特に気を遣ってましたか?
そんなに体調は悪くないですよ。フツーのコンディションでした。
ただ疲れてるってことと、風邪をひくといけないっていうので周りの人間がとても気遣っていましたよ。どこに行くにしても相当気を遣ってましたね。
だからマトモに出掛けたのも、(群馬)サファリワールドぐらいじゃなかったのかなァ。
サファリワールドへ行った時は、ちゃんとピクニックバッグ作りましたけどね。
―― お弁当ですかぁ〜〜!!
ええ、チキンサンドとポップコーンとキャンディとか。
―― え〜〜っ! キャンディですか(笑)
キャンディもノンシュガーのハチミツで出来たのですけど。(笑)
そんなのをバスケットに詰めたのを持って行きましたよ。
―― 辛い刺激のあるものが好きだって何かで読んだんですけど。
前に来た時はチリソースを使ったメキシカン風の料理をよく出してて、今回も出したんですけど、今回はあんまり食べてませんでしたね。
1年ちょっとの間に少し変わったんでしょうね。
'87年の時に 「ワールドツアーについて来て欲しい」って頼まれたんですけど、もしその時行ってればまた違ってきてたのかもしれないんですけど行けなかったんで。
その間にアメリカ人ですけどマレー系のコックが付いて、色んな物を食べさせてあげてたみたいですけど、今回日本に来るっていうのでその人をキャンセルして、こっちのプロモーターに僕へ連絡して欲しいと要望がありまして、都合を訊いてきたんです。
―― かなり気に入られたんですね。
ええ、まぁ…(恥ずかしそうに)


三條さんの白衣&マイケルから贈られた帽子
(part.2にも別ショット有)


―― 新しい彼の家のことなんかは聞いていらっしゃいますか?
訊きましたら、え〜っと何でしたっけ。馬が40頭で牛が300頭いて、カウボーイが何十人かいて、庭師が10人ぐらいと調理人が1人、それにマイケルの身の回りの世話をする人が2〜3人って言ってましたね。
彼が家にいる時はお客も少ないって言ってました。
それを聞かせてくれたのは、衣装を担当してるマイケル・ブッシュっていう人で、背の低いブッシュさんっていう人に 「新しい家のこと聞かせてくれよ」って言ったら教えてくれたんですけどね。
―― マイケルが肉やお魚を食べるようになったキッカケは?
ビルの息子さんでロードリックっていますよね。ロードリック・ブレイ。
彼の話だと、日本へ来る前にLAで1度倒れましたよね。それでLAのコンサートが流れちゃいましたよね。 (※'88年11月)
その時ドクターから、「少なくても動物性のタンパク質を摂ってくれ」と、「赤身の肉はコレステロールが高いからダメだろうけど、白身の魚やトリ肉なら良いだろう。トリ肉ぐらいは食べたらどうか」って言われたらしいんですよね。
それから食べるようになったということです。
―― 日本食っていうのは気に入ってるみたいですね。
さっきの話じゃないですけど、ツアーに僕がついて行ってれば、もっと日本食党になってたかもしれませんけどね。
ただ、ツアーの時の荷物を運ぶ大きなコンテナがありますでしょ。あの中に小さな炊飯器が入ってたんです。恐らくどこかで買ったんでしょう。ナショナルの電気炊飯器なんですけどね。
だから、日本食に一時は興味を持ったのかもしれません。日本を離れてからですね。でも、それをちゃんと調理してくれる人が居なかったんで別のコックを雇ったんでしょうね。
彼にとっては “まごころ”なんですよね。食事に興味は無いけれども、作る側に真心があれば、案外食べてくれるんですけどね。
でも、あんまり食べてくれないと こっちもイヤになりますよ(笑)
元々、食べるってことのアレは無いんですよ。パターンというかね、要するにまァ、食べることにつけても我儘なんですよ、食べ方が。
だからそれにメゲないで作っていくだけのプロの意識がないと務まりませんね。1年とか2年とかになったらすごく大変ですよ。
料理ですから色彩感覚を良くしなきゃいけないっていうのは当たり前ですよね。お金をもらって雇われているんですし、彼もそれは当然だと思ってるかもしれません。
だからと言って、そういう努力をしなくても文句を言わないんですよ。ただ「辞めてって」って言うだけですよ。だからこそ難しいんです。
だから、僕なんかも 「今日は何を食べたいですか?」って訊いてみたりもするんですけど、あんまり「○○が食べたい」とは言わないんですよ。
でも、例えば「ホットドッグが食べたい」とか「今日はパンケーキが食べたい」とか、たまには言うわけです。
「今日はパンケーキね」、「じゃ、パンケーキ作って持って行きます」、こんな感じですね。
―― 夕食は、コンサートが終わってからだとかなり遅くなりますね?
そうですね、遅くなりますよ。12時ぐらいになっちゃいますね。コンサートから帰って来て、シャワーを浴びてパジャマに着替えてから食事ですから。
夜中に電話がかかって来ることもありますしね。「お腹空いたからポップコーン作って」とかね。
一番アレだったのは、真夜中の3時ごろ電話がかかってきて、「三條、寝てるの?」って言うから
「寝てましたヨ」って言うと、「悪いんだけど、ポップコーン作って持って来てくれない?」って時もありましたよ(笑)
―― そりゃ悪いですよねェ〜〜(笑)
そういう時、マイケルは何をしてるんですか?
遊んでるんじゃないですかねェ。
―― ジミー君と?
いや、ジミー君はもう寝てますよ。ひとりで遊んでるんでしょうね。
でも、そういう時は僕らもスイートには入らないんです。時間が時間ですから…。ドア越しに渡していくんです。
―― 顔も出さずに受け取るんですか?
いや、顔ぐらいは出しますよ。でも僕も早く戻って寝たいですからね。
―― Fanじゃない人ってそうでしょうね。ビジネスですものね。
でも、僕は彼に好感持てましたよ。
コンサートのたびに「来て来て」って言ってくれましたし、2回ぐらい行きましたけど、食事の準備があるんでビリージーンぐらいまで観て帰って来ちゃいましたね。一緒のワゴンで行って、VIPのバンがありますんでそれで早目に帰って来るんです。
コンサートを観るのはウラからですけど。
―― コンサートの前はかなりピリピリしてますか?
そんなことはないですよ。
僕ら、彼が出る時は必ず「行ってらっしゃい。頑張って来て下さい」ってお見送りするんですけど、特にピリピリしてるってことは無かったですね。
―― キャリアもステージ活動もずいぶん長いですものね。
そういうことでしょうね。もう全て身体で覚えてしまっているから、今さら音合わせの必要も何もないでしょうし…。
でも、個人としては偉大ですよね。あれだけの人間を動員できるとか、色々ね。
―― 他にマイケルが好きな物とかありますか? おうどんとかおそばとか…
ポップコーンやアイスクリームはかなり好きですけど、パスタ類は一切食べないんですよ。
パンは食べますけど、主食っていうのも無いんじゃないですかね。
―― じゃ、ホントにちょっとで良いんですね。
ええ、ちょっとしか食べませんね。
だけど料理人として雇われている以上、少ししか食べないから少ししか作らないってわけにも行かないんですよ。お金を頂いている以上、やっぱりね、ゴージャスにね、例えば給料だって40万・50万頂くわけですから(笑)、そうなるときれいにちゃんとした物を作りませんとね。(笑)
―― パスタ類は食べないっておっしゃいましたけど、チーズトーストとかは?
チーズトーストは食べますよ。普通のチーズを乗せてます。
バターは、動物性の物は使わないで欲しいと言われてますけどね。だから使うのは俗にいうマーガリンです。マーガリンを塗ってチーズを乗せて焼いた物を、丁寧に1口サイズに切って出すんですよ。
―― 自分でちぎって食べたりしないんですか?
それはあんまりしないみたいですね。逆にそこまでしなくちゃ、マイケルはマスターですからね。すぐ食べられる状態にして出すのが仕事ですしね。
―― サラダはお塩だけで?
いえ、そんなことはないです。醤油を使ったドレッシングとか、マヨネーズ使って作ったりもします。
―― マヨネーズは大丈夫なんですか?
ええ、黄身はダメだって言ってたんですけど、マヨネーズは大丈夫みたいでしたね。酸味をあまり使わないで作りましたけど。
―― あら、酸っぱいのはダメなんですか?
いや、ダメってのは何もないみたいですよ。ただ、塩は海塩を使ってくれとか 砂糖はダメだからハチミツにして欲しいとか ディープフライは・つまり揚げ物はダメとか、そういうこと・ごく限られた制限だけですね。
限られてるのは5,6種ぐらいじゃないでしょうか。
―― こちらで出されているお味噌ありますよね。あれがお気に入りとか?
ええ、かなり気に入ってましたね。
前回はトウフステーキにあれをかけて出したりしてましたよ。今回はあまり食べませんでしたね。
だから非常に難しいんですね。ひとつの物に興味を持ってもらうのが…。
前回は、マイケル自身がいろんな事に興味津々だったんですよ。初めての海外ツアーだったでしょ。だからいろんな物に対して子供のような好奇心があって、日本で受けたファンの真心に対しても非常に心に残る良いものがあったんですよね。
今回は2回目ですので、その辺が彼の中でちょっと薄れていたというか、1年半ものロードでかなり疲れてましたしね。やっぱり人間、疲れてくると欲求っていうのが少なくなりますから。
何でもそうですけど、彼の場合、1年以上のロードでああいう生活をしてて、普通の健康な人でもかなり大変ですよね。だから相当忍耐力があるんですよ。基本的にはあるんでしょうね。だからああいう踊りが出来るんですよ。
味噌についてもそういうような事で(前回のように欲求が沸かない)、あまり味噌のベースの物は出さなかったですね。
逆に今回は、「ウエスタンっぽい物にしてくれ」って言われてましたから、鶏なんかもステーキにしたりウエスタン風に出してましたけどね。
クリスマスに出した料理なんですけど、小麦粉を使った物ですね。フラワーですけど。
小麦粉っていうのは黒人社会ではあまり使われないんです。小麦粉の代わりにコーンミールっていう トウモロコシのやつがあるんですよ。
で、トリ肉を1羽買ってきて、その中に肉詰めしてミール詰めして焼いたやつなんか、結構食べてましたけどね。
あと、コーンミールのブレッドっていうのがあるんですよ。コーンミールブレッドっていう、要するに中に入れて焼く物を寒天流しとかああいうのに入れてオーブンで焼くんですよね。それなんかも黒人の料理なんです。
そういうのは彼自身が…
あのですね、そういうのをアメリカで何て言うかっていうと、ジャンクフードって言うんです。ジャンクっていうのは要するに、どうしようもない食べ物とか 何でもいい食べ物っていう意味なんですよね。
ビルとかロードリックに言わせると、「マイケルはジャンクフードが好きなんだ」って言ってましたね。
一般的に言うと、どうでもいい食事のことをジャンクフードって言うんですよね。まぁ例えば、日本で言うと猫メシぶっかけの(笑) まぁ、ぶっかけ飯ですよね、そういうニュアンスがあるんです。
―― じゃあ、小さい頃から食事に対する関心はあまり無かったんでしょうね?
そうだと思いますよ。
―― どうもお忙しい中ありがとうございました。


いかがでしたか?
この場をお借りして、お忙しい時間を当クラブの為に割いて下さった三條さまと
インタビューに行って下さったKさんに改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

「マイケルの話を聞きたい」という理由だけでお店を訪問しないように。
営業時間中に大変なご迷惑となります。 三條さまご自身も大変にご多忙な方です。
「自分だけなら良いだろう」と大勢がやってしまうと、Club全体のお行儀の悪さに繋がります。
ご理解・ご協力お願いしまぁす!(これから取材出来なくなっちゃうからね〜